社長の一言集

第191号「幸福を求める者は夢なかるべからず 」

2022/05/30

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幸福を求める者は夢なかるべからず

                2022年191号
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コロナ禍に重ね、ウクライナ問題、更に円安、インフレと、経営環境の厳しさは増す一方です。
多くの企業で、経営計画の再検討、練り直しを余儀なくされています。
業績向上、株価UP、シェア拡大、新しいビジネスモデルの構築等、経営目標は企業毎に様々ですが、経営目的である「企業が存続する」ために、経営者の意思決定力が問われます。大きなリスクを伴う、企業歴史の節目となる決断であることは事実です。

P.F.ドラッカー著 上田惇生訳 『プロフェッショナルの原点』ダイヤモンド社 より
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◆状況に流されない

どこか秘密の場所が必要である。
そこで、何がなされるべきかを一人で考える。

「状況に流されて優先順位を決めると、トップの仕事はまったくなされなくなる。トップの仕事とは、昨日に由来する危機を解決することではなく、今日と違う明日をつくり出すことであり、それゆえ後回しにしようと思えばできる仕事だからである。状況の圧力は常に昨日を優先する。

状況の圧力に支配されるトップは、トップ以外の誰にもできないもう一つの仕事、すなわち組織の外部に注意を払うという仕事をないがしろにしてしまう。その結果、唯一の現実であり、唯一の成果の場である外部の世界の感触を失うことになる。なぜならば、状況の圧力は常に内部を優先するからである」


◆劣後順位を決める

意思決定に必要なものは勇気である。

「集中できる者があまりに少ないのは、劣後順位の決定、すなわち取り組むべきでない仕事の決定と、その決定の遵守が至難だからである。延期が断念を意味することは誰もが知っており、延期した計画を後日取り上げることほど好ましからざるものはないからである。後日取り上げても、もはやタイミングは狂っている。タイミングはあらゆるものの成功にとって最も重要な要因である」


◆機会を中心に置く

目線を高くして、変革をもたらすものを選ぶ。

「優先順位の決定には、いくつかの重要な原則がある。第一に、過去ではなく未来を選ぶ。第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。第三に、横並びではなく独自性をもつ。第四に、無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ。挑戦の大きなものではなく容易に成功しそうなものを選ぶようでは、大きな成果はあげられない。膨大な注釈の集まりは生み出すだろうが、自らの名を冠した物理の法則や新たなコンセプトは生み出せない。」
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意思決定は、優先順位と、更に「守る」か「攻める」か、という決断があります。
私は「守る」・「攻める」・「超える」の三つで方針策定を行うようにしています。

「守る」は、既存の商品と既存のお客様の中でのご活用促進・継続いただくための計画
「攻める」は、①既存のお客様への新規商品・サービスの発掘、開発計画 / ②既存の商品での、新規のお客様の開拓計画
「超える」は、未来志向で、従来の延長線上にない、まったく新規の商品・サービスで、新たなお客様の開拓と市場に変革をもたらす計画です。

利益視点でいうと
「守る」は、現状の業績を確保・維持するための意志決定
「攻める」は、現状にプラスの利益積み上げのための意志決定
「超える」は、まったく新たな利益の柱づくり、新たな未来のための意志決定 です。

「守る」か「攻める」か、ではなく守りながらも、攻め続ける、さらに超えるための挑戦が、リゾーム流の意志決定です。

この意思決定は正直、常に人、資金、時間にかなりの負荷がかかっていますが、「守る」というだけの経営では衰退一途です。「攻める」取り組みがないと現状維持のみならず存続も出来ません。

どんなときにも「超える」種まきをし続けないと成長と未来が描けないと考えています。

『月刊誌 致知』2022年6月号「伝承する」
京阪ホールディングス代表取締役会長 加藤好文氏のインタビュー記事より抜粋
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伝承の大切さ、企業永続のヒントを与えてくれるのが、伝教大師最澄様が灯して以来、千二百年以上、受け継がれる比叡山延暦寺の「不滅の法灯」です。

私もその法灯を守る「法燈護持会」のメンバーなのですが、この灯が一度だけ途絶えそうになった時がありました。織田信長による比叡山焼き討ちです。信長の焼き討ちで法灯は消えてしまった。

ところが、全国の天台宗のお寺などに「分灯」していたことで現代に至るまで最澄様の法灯を繋ぐことができたんですね。経営も同じで一つの事業に頼る"一本足打法"では危ない。企業永続のためには、様々な事業にチャレンジして、事業のリスク分散を図っておかなければいけないということです。

例えば、当社もコロナ禍で鉄道を利用するお客様が大きく減少しましたが、改革で立て直した不動産などがあったために持ち堪(こた)えることができました。

これからも渋沢翁の創業精神、基本精神を後進に伝承し、さらに盤石な会社を創り上げていくと共に、世の中に役立つ事業を提供し続けることで、誰もがwin-winになれる社会の実現、皆様の幸せに貢献する会社を目指していきたいと思います。
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京阪電気鉄道株式会社は、渋沢栄一翁を創立委員長として1906(明治39)年11月19日に創立されました。渋沢翁は経済人として企業の創設・育成に力を入れるとともに、第一国立銀行をはじめ、約500もの企業の設立に関わったとされ、「近代日本資本主義の父」といわれた大実業家です。

渋沢栄一翁が成功のために残された「夢七訓」です。

夢なき者は理想なし
理想なき者は信念なし
信念なき者は計画なし
計画なき者は実行なし
実行なき者は成果なし
成果なき者は幸福なし

ゆえに幸福を求める者は夢なかるべからず(夢を持たないといけません)

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光