社長の一言集

第189号「困難は必ず"解決策"を連れてやってくる」

2022/03/30

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「困難は必ず"解決策"を連れてやってくる」

                2022年189号
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弊社では、毎月月末に全社員参加の全体会をTeamsで開催し、会社の業績報告、各部署からの報告をおこなっています。その最後に、社長あいさつをして締めくくります。毎月の社会の変化に対しての思い、社内の出来事に対しての補足等様々ですが、先月末の内容を一部ご紹介させていただきます。

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<挨拶要約>

私たちは、今後世界規模の困難と試練の中で生きていくことを覚悟しなければなりません。
その主な困難は「ア、イ、ウ、エ、オ」ではないかと思います。

「ア」は阿蘇山の噴火です。これは阿蘇だけでなく富士山の噴火、首都直下型地震、南海トラフ地震の発生です。本気で備える必要があります。
弊社は、災害リスクの少ない岡山県岡山市の高台の強固な地盤の上に建設された岡山県の情報センタービルに拠点(本社機能)を設け続けています。また、福山市のB-PARK(直営スポーツセンター)には、関東の社員さんの避難を受け入れるためにゲストルーム(一軒家)を避難所として確保し、保存食、飲料の備蓄をおこなっています。

「イ」は、インフレです。ここ最近の石油や、原材料の高騰は経営者も、消費者も大変です。

「ウ」は、ウクライナ危機です。全世界を巻き込み、深い影を落とし、経済危機、平和の崩壊が現実になりつつあります。

「エ」は、円安です。今までは、戦争や危機の時は円が買われ、円高になっていたのですが、今回はまったく逆の現象で、日本という国の財政のあやうさが露呈し始めたようです。

「オ」は、オミクロンです。

どの困難も、短期で解決できるようなものではなく、中長期的に更に備え、耐えていく覚悟が必要です。

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過去、阪神淡路大震災、リーマン・ショック、東日本大震災等を経験してきましたが、今回のような複雑で末期的状況は初めての経験です。このような時には、先人、先輩方から学ばせていただくことが大事と考え、いつもより読書量も増えています。そうした中、日本の名経営者、永守重信氏の言葉に大きく勇気づけられました。

日本電産株式会社代表取締役会長・創業者 京都先端科学大学理事長 永守重信著
『成しとげる力』サンマーク出版社
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困難は必ず"解決策"を連れてやってくる

 苦しみがあれば、そのあとには必ず喜びがやってくる―それは私が子どもの頃、母がよくいい聞かせてくれた教えであった。それから波瀾万丈の人生を歩んできて、たしかにそれは真実だと確信している。

 人生とは、苦楽が交互に織りなす"サインカーブ"である。多くの苦しみを経験したあとには、必ず大きな喜びがやってくる。そして、大きな苦難を乗り越えた人にこそ、より多くの幸せが待っているのだ。

したがって困難や逆境のなかにいるときこそが、飛躍のチャンスなのだ。だから、けっしてそこから逃げてはならない。どんなに強い逆風であろうと、敢然と向き合い、それを乗り越えていくことだ。

 私自身もまた、かつて経験したことのない困難に見舞われたときは人一倍悩み、苦しみ、考え抜く。世間では、ずいぶんと威勢のいい人間だと思われているようだが、実のところは、はたから見えるより、はるかに憶病な性格である。夜眠れないこともあれば、燃え尽きて倒れてしまうのではないかと恐怖におののくことすらある。

 創業経営者であれば、みな同様の経験をしていることだろう。経営という仕事はそれだけの重責を担うものであるし、むしろ臆病さをもたなければ、やっていけない仕事でもある。

 二〇〇八年、リーマン・ブラザーズの破綻に端を発する大恐慌が世界を襲った。いわゆる「リーマン・ショック」である。それまで業績が順調に推移していた日本電産グループだが、状況は一変した。顧客からのキャンセルの電話が鳴りやまず、売上は急降下した。

 「会社がつぶれる」という恐怖が頭をよぎった私は、すぐに図書館に向かった。「百年に一度の危機」だと評論家は論じていた。ならば歴史に残る、一九二九年のアメリカに端を発する世界恐慌について調べてみようと思ったのだ。

 かつて経験したことがない危機に直面して、何が何でも解決の糸口を見つけたかった。日本語の本のみならず、辞書を片手に英語の本も片っ端から読み込んだ。危機を乗り切った会社が必ずあるはずだ。そのケースを詳細に分析すれば、生き残り策がきっと見つかるに違いない。

 思ったとおり、大恐慌をたくましく生き残った企業がいくつか見つかった。もちろん、百年近くも前の事例がそのまま現在に通用するわけではない。そこで考えたのは、成功の要因を分解し、再構成し、いまの時代にも通用する法則を探すことだった。必死に考えるなかで、ついに独自の解決策を見出すことができた。

 すぐにグループ全社に原価の徹底的な見直しを指示し、ムダな経費をしらみつぶしにカットした。同時に仕事の進め方や発想も従来のしがらみにとらわれることなく、原点からの改革を求めた。上から指示するだけではない。世界中の社員からもアイデアを募り、全員で知恵を共有した。

そして、国内グループ社員の賃金カットをどこよりも早く決断することができた。これが功を奏した。多くの企業が軒並み赤字を計上するなか、当初の予想だった莫大な赤字を抑え、黒字を達成することができたのだ。業績が回復してから、社員の賃金カットぶんは賞与で利子をつけて返すこともできた。

(中略)

「困難は必ず解決策を連れてやってくる」という信念を私はもっている。困難がやってきたということは、解決策も一緒にやってくるということだ。だから、逃げずにその困難にしっかりと向き合い、解決策をつかみとることだ。

 誰でも困難に真正面から対峙するのは怖い。目の前に立ちはだかる屈強な敵に丸腰で立ち向かうようなものだ。しかし、「困難さん」は必ずポケットの中に、解決策を忍ばせてやってくるものだ。だから、真正面から対峙し、がっぷり四つに組んで、ポケットに手を突っ込んで、解決策を奪取する必要があるのだ。

 厚い壁にぶち当たったとき、その壁を打ち破るか、乗り越えるかしなければ、前に進むことはできない。しかし、一度経験した困難は確実に血肉となり糧となって、それ以降の成長を支えてくれるものだ。

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永守さんのようなお元気でプラス思考の経営者でも、夜眠れない、燃え尽きて倒れてしまうのではないかと恐怖におののくことがあったのですね。
しかし、困難を「困難さん」と呼べるのはすごいです。私は初めて聞きました。

正に「困難さん」、「有難う」の極意をつかまれたのですね。

永守さんの文書をよんでみて、今月末の挨拶のネタを考えてみました。
「ア」ありがとう  感謝を忘れない
「イ」いつも笑顔で 温顔無敵
「ウ」上を向いて  未来・希望は下にはない
「エ」縁を大切に  全て必然、縁を信じ活かす
「オ」おかげさま  生かされている、まわりの人あっての自分

試練とは「どんな時にも今を大事に明るく生きる」ことにつながります。

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光