社長の一言集

第175号「約10年おきに『100年に一度の危機』が起きる時代」

2021/01/25

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 約10年おきに『100年に一度の危機』が起きる時代
                            2021年175号
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人も会社も、長い年月の間に様々な縁に巡り会い、更にその縁が繋がって、まったく予想もしなかった未来へ繋がります。
縁は、人の縁だけではなく、時、場所、出来事も縁だと言えます。

偶然、その時にその場所でたまたま見つけた求人情報から面接に行って、縁が繋がったという縁もあれば、今回のコロナ禍というパンデミックを日本で経験しなければならないというのも、稀なる縁だと言えます。

「禍福は糾(あざな)える縄のごとし」(史記/南越伝賛)という言葉があります。
災いの縁と、福なる縁が、撚り合わせた縄のように表裏一体で入れ替わり続けるという意味です。
残念ながら、今のコロナ禍の状況下では、福なる縁がなかなか見出せません。

これから、この「縁(因)」と「現実」をしっかり受け入れ、考え、適応し、「福なる結(果)」に、繋げなければいけません。

IGPIグループ会長 冨山和彦氏著
『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』文藝春秋社より
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約10年おきに「100年に一度の危機」が起きる時代

前にも述べたが、私たちはこの30年間、ほぼ10年おきに「100年に一度の危機」に遭遇している。原因はそれぞれに100年に一度くらいのレアな事象かもしれないが、それが10年に一度くらいの頻度で大きな危機を招来し、その衝撃は時代が進むほど、即時的かつ世界スケールになる傾向がある。

おそらくその背景にはグローバル化が進んだことと、デジタル革命で情報伝搬や市場変動が瞬時に世界中に伝わることがある。
すなわち、経済危機は必ず終わるが、きっとまたやって来る、それもおそらくよりグローバルにスケールアップして、というのが現代という時代なのだ。

自らの不明を白状すると、2003年に産業再生機構の実務トップを引き受けた時の私は、バブル崩壊から続いていた不良債権問題を解決し、金融危機が終われば、日本経済は元の成長軌道に持続的に戻れると思っていた。

しかし、この問題が解決しても、平和で安定した成長の時代は戻ってこなかった。
結局、私たちはいつの間にか、破壊的な危機と破壊的なイノベーションが交互にやってくる時代に突入していたのだ。

そうだとすれば、今回の危機を乗り越えられても、次にまた同じような危機に対峙したときに、自分たちの会社や事業は生き残れるのか?
この生産性、競争力、財務体力、経営力でこんな時代に持続性、サステナビリティがあるのか?について真摯に考える必要がある。

中小企業であれば、そこに事業承継問題が絡んでくるだろうし、大企業であれば今の会社のかたちや稼ぐ力、その基礎にある組織能力でこれからも続く破壊的イノベーションと次に来る破壊的危機を生き残れるのかという、本書続編のメインテーマであるCX(コーポレートトランスフォーメーション)の問題につながっていく。

これは個人レベルでも、政府レベルでも同様だ。企業、個人、会社、政府のあらゆるレベルで、破壊的危機、それも毎回新たな形で襲ってくる世界的な危機に対しての強靭性、レジリエンスが求められている。

ウイルス感染症でも基礎疾患を持っている人は重症化リスクが髙いようだが、企業経営も同様で、次の危機で「勝ち組」になるためには「基礎疾患」(財務と事業と組織の構造疾患)を根治しておくことが、企業経営におけるもっとも根源的なレジリエンスなのだ。

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10年おきに「100年に一度の危機」が到来する時代という縁を活かすために、私たちは大いに悲観し、悩み、もがき続ける覚悟が必要です。
そして、未来を信じ、新たな決断と、危機を好機に転換する新たな縁づくりが必要です。

「経営戦略は、不確実な明日のために、今日何をすべきかを決めることです。」

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光