社長の一言集

第143号 「Fail fast! Fail often!」

2018/06/01
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「Fail fast! Fail often!」
                            2018年143号
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5月のGW明けからシリンコンバレーへ行ってきました。
米国在住で、JETRO(日本貿易振興機構)のメンターとして若手起業家の育成に
尽力されているマーク加藤氏、スタンフォード大学アジア太平洋研究所リサーチ
アソシエートで、シリコンバレーのエコシステム、デザイン思考の研究を
されている櫛田健児氏などの専門家のレクチャーを直接受けることが出来ました。

シリコンバレーで、世の中を変えるという信念と情熱を持ってイノベーションに
挑戦している人々、成功を手に入れた人々、彼らを生み出し、育ててきた
スタンフォード大学の役割と歴史を学べたことは本当に貴重な経験だったと
思います。

櫛田健児氏のデザイン思考の5つのプロセスを学ぶワークショップはとても
勉強になりました。

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Step1:共感(Empathize)ユーザーの本当の課題を導き出し理解する
Step2:問題定義(Define)何を解決すべきかを絞る、方向性を定める
Step3:創造(Ideate)課題の解決法となるアイデアをどんどん出してみる
Step4:プロトタイプ(Prototype)アイデアを低コストでカタチにしてみる
Step5:テスト(Test)ユーザーに試してもらい課題解決の検証をおこなう
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シリコンバレーでは、世の中を変えるもの、世の中のためになるもの、
ワクワクさせるものにこだわり、多くの挑戦者がこのデザイン思考の手法を
活用しています。

滞在中はMicrosoft、シスコシステムズ、インテル等、色々な企業を訪問しました。
注目は、シリコンバレーに2006年に設立されたPlug and Play Tech Centerです。
スタートアップ企業のための、正にインキュベートのための施設で、Googleや
PayPalもここからスタートしています。

この施設には、ベンチャーキャピタル(VC)、各分野の専門アドバイザー、
大学の出先、NPO等も入居しており、ビジネスの創出支援やスタートアップ企業と
投資家とのマッチングの場を提供しています。※福岡県の出先もありました。

講義を聞く中で、一番印象に残った話は、シリコンバレーでは「Fail fast! Fail
often!」(早く失敗しろ!たくさん失敗しろ!)が成功の秘訣だということです。
シリコンバレーでは、失敗を経験したことのない経営者は投資家からも、
他の経営者からもあまり評価、尊敬されないという事を聞いて少し驚きました。
失敗に対する定義、価値の認識が日本とは大きく違うようです。

<失敗の定義の違い>
■一般的思考での失敗とは→目的が達成出来なかったこと
■科学的思考での失敗とは→仮説が立証できないこと
■シリコンバレー思考での失敗とは→目的達成のためのプロセス
 ※誰よりも早く、より速く繰り返せば早く目的が達成できる

普通の考えでは、失敗は悪であり、してはいけないという一般思考なのですが、
成功のために信念を持って行動する人々は「失敗は学びでありチャンス」と、
とらえています。

日本の経営者にも失敗を活かし続けた人物がいます。
井深大氏の著書「わが友 本田宗一郎」(文春文庫)の本田氏の言葉より
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大体、僕の人生は、いわゆる見たり、聞いたり、試したりで、それを総合して
こうあるべきだということで進んできた。
もしわからないようなことがあって、そのために本を読むんだったら、その
ヒマに人に聞くことにしている。 (中略)
さっきもいった通り、人生は見たり、聞いたり、試したりの三つの知恵でまと
まっているが、その中で一番大切なのは試したりであると僕は思う。
ところが世の中の技術屋というもの、見たり、聞いたりが多くて、試したりが
ほとんどない。
僕は見たり聞いたりするが、それ以上に試すことをやっている。
その代わり失敗も多い。ありふれたことだけど、失敗と成功はうらはらに
なっている。みんな失敗をいとうもんだから、成功のチャンスも少ない。
本田が伸びた伸びたって、最近みんなが不思議がるが、タネを明かせばこれ以外に
ない。
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人生で、何かに挑戦して失敗したことのない人は皆無です。
失敗に懲りて挑戦することを止めるという選択もあるのでしょうが、今のような
変化の時代で、何も挑戦をしないという選択肢はないのではないでしょうか。

私たちは「素直に、前向きに」を信条に、失敗を乗り越え、糧にするコツを
自ら掴みながら成長を続けなければいけません。

「Fail fast! Fail often!」

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光
                        
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