社長の一言集
第144号 「絶えず大事に直面してもうろたえるな」
2018/06/29
---------------------------------------------------------------------- 「絶えず大事に直面してもうろたえるな」 2018年144号 ---------------------------------------------------------------------- 「若い時の苦労は買ってでもしろ。」は昔からある格言です。 しかし、苦労、困難は、年齢も身分も関係なく、生きている限り、誰もが 常に向き合っていかなければなりません。 松下幸之助翁の残された格言には、「困難」という言葉が多く出てきます。 数々の困難を乗り越え、経営の神様にまで到達した幸之助翁の困難に対しての 取り組み方とは何だったのでしょう。 幸之助翁は、困難に出会ったとき、「絶えず大事に直面してもうろたえるな」と 言葉を遺されています。 困難を真正面から受け止め、策を弄せず、小手先で解決しようとしない。 その困難の本質を見極め、決断し、全力で取り組む、というやり方です。 この積み重ねは、鍛錬となり、数々の危機を乗り越えるだけではなく、 松下電器の経営革新に活かされました。 素晴らしい経営者の方々の困難や危機に対しての考え方、対処方法は たくさんありますが、「解決策は現場にある。現場に帰れ。」と語られた ユニ・チャーム(株) 取締役 ファウンダー 高原慶一朗氏の言葉も励みになります 『理屈はいつも死んでいる』 ユニ・チャーム(株) 取締役 ファウンダー 高原慶一朗氏著 サンマーク出版 ---------------------------------------------------------------------- 危機とは危険と機会の複合物。ですから、ある人にとっての危機は、 別の人にとってはまたとない機会なのです。 実際、日本人はむかしから、向かい風をチャンスととらえる柔軟性に富み、 ピンチをチャンスに変えてきた実績がたくさんあります。 敗戦からの急速な復興はその典型でしょう。 あのときの日本は、世界がびっくりするほどの復元力を発揮しましたが、 その復元力の源泉は、日本人のたぐいまれな適応力にありました。 適応力とは変化への対応力のこと。 日本人はその変化力の高さを強みとして、敗戦の痛手からいちはやく 立ち直ったばかりでなく、ここまで成長することができたといえるでしょう。 つまり私たちは、時代や社会が生きて動いている現場、その現場から、 いろいろなものを「理屈ぬきで」消化吸収する力がきわめて強い民族なのです。 敗戦からまだ間もないころ、本田宗一郎さんがヨーロッパの工場視察旅行から、 一個のクロスネジを拾って帰ってきたエピソードは有名です。 それまで日本にはマイナスネジしかありませんでした。 マイナスネジは手作業でドライバーを使って締めるほかない。 しかし、頭にプラスの刻みの入っているクロスネジなら圧縮空気を使って 機械で締めることができる。この一本のネジから、きわめて大きな生産性の 向上がもたらされることになったのですが、工場の床に落ちていた 一個のネジに目をとめた本田さんの慧眼--。 それこそまさに、ものづくりに磨かれた現場感覚が生んだものとは いえないでしょうか。 そうした現場力、あるいは現場力に培われた適応力を、時代が変わったいまも、 いや、時代の変化が激しいいまこそ、私たちは失ってはいけないのだと思います。 ---------------------------------------------------------------------- 正に、今の時代は「危機」の真っただ中だと思います。 今回の大阪北部地震で改めて認識させられた大災害リスク、超高齢化社会の到来、 ネット依存社会のひずみ、国際問題等、あげればきりがありません。 しかし、本質的な危機は外部環境だけではなく、私たち自身の適応力の低下かも しれません。 「大事に直面してもうろたえない」ための、危機意識、胆力があきらかに 不足している気がします。 現状、現場をしっかりとらえ、今一度「創業の精神」に立ち返り、自らが強い 一歩を踏み出す覚悟と、行動が求められています。 松下幸之助翁は、部下で愛弟子の木野先生にこのような言葉を残されています。 「木野君な、人間は苦労した分だけ幸せになるで!」 株式会社リゾーム 代表取締役 中山博光 +---------------------------------------------------------------------+