社長の一言集
第138号 「Winner-takes-all(勝者総取り)」
2017/12/21
---------------------------------------------------------------------- 「Winner-takes-all(勝者総取り)」 2017年138号 ---------------------------------------------------------------------- 今年も師走に入り、クリスマスや新年を迎えるための準備が始まります。 最近はネットで「おせち」が予約販売されていますが、とんでもないおせちが アマゾンから登場しました。 おせち専門店「板前魂」とのコラボで、厳選高級食材が計116品、お重を重ねると 高さが約117cmにもなる「日本一背の高いおせち」(限定10台/20万円)です。 アマゾンもいよいよここまできたかという感想です。 23年前に米国西海岸の小さなガレージでジェフ・ベゾス氏が創業したアマゾンは、 現在、売上15兆円、時価総額52兆円の巨大企業に成長しました。 「配当0宣言」で、創業以来、株主にほとんど配当せずに「創造的破壊力」で、 競争優位性の向上と、業種を超えた事業領域の拡大を進めてきました。 <事業の推移> 1994年 書籍のネット通販で創業 2003年 マーケットプレイス(個人・企業の「出店者販売」サービス)開始 2005年 アマゾンプライム(有料会員制プログラム)で顧客の囲い込み開始 2006年 アマゾンウェブサービス(「AWS」によるクラウドサービス事業)開始 2007年 プライム会員向け (生鮮食品配送:アマゾンフレッシュ)開始 2015年 アマゾンエコー(アレクサ搭載:音声認識機能付スピーカー)発売開始 2015年 アマゾンビジネス(法人向け通販サービス事業)開始 プライム会員向け(映画・ビデオ見放題:プライム・ビデオ)開始 2016年 アマゾンゴー(レジなしコンビニ事業)開始 プライム会員向け(写真・動画保存:プライム・フォト)開始 2017年 ホールフーズ買収 プライム会員向け(ゲーム配信サービス:Twitchツイッチ)開始 2018年以降 店頭スマホ決済サービス予定 等 <主な事業内容> ネット販売、リアル販売、PB商品の開発、コンテンツ(映像・音楽)提供、物流、 広告、マーケティング、決済、金融(融資)、コンサルティング、 クラウドサービス等、事業領域は着実に拡大し続けています。 更に、アマゾンの独自コンテンツのひとつ、映画「マンチェスター・バイ・シー」は、 ベゾス氏の念願だった第89回アカデミー脚本、主演男優賞を受賞しています。 今年、ファーストリテイリング社が主催した「キャリアフォーラム」で、 同社代表取締役会長兼社長の柳井正氏と、 ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長の孫正義氏の対談が行われました。 その中で特に気になったメッセージの抜粋です。『週刊現代』より ---------------------------------------------------------------------- <孫氏> 世の中がどんどん集約化されていくんです。色々な産業で「Winner-takes-all (勝者総取り)」の世界になってきているんです。 インターネット上では一瞬で情報が世界を駆け回る。 だからナンバーワンの会社にお客さんが一気に集まる。 10位とか20位とかでは存在が難しいという時代になります。 <柳井氏> これから30年後、成功者になっていると思うのは、本当にその業界の先を読んで、 業界がどのように変わるのかというビジョンを実現できる人です。 深く考える人、考え抜く人、深く感じられる人。服のデザイナーとかでも、 本当に優れた人は、言語化能力や理論的考えと、反対にイメージをビジュアル的に 実現できる能力が全部揃っている。そういう人たちの世界になってきます。 <孫氏> 人間の存在意義はなんだろうって、今から30年間で何度も何度も問われる。 正にそういう時代に我々は生まれてしまったという事だと思います。 だから、本当に今から考えていかないといけない。 「幸せってなんだ? 労働ってなんだ?」と。 そういう事を考え抜いて、人の幸せのために何かをクリエイトして、 人と共感することを大事にするような人が良いということになるのだけれど、 一方ではまずハイテクの武器の部分については持っていないと話にならない。 是非、両方を極めてほしいですね。 両方を極めなければ、突き抜けたリーダーシップを発揮できない。 ---------------------------------------------------------------------- アマゾン、アリババは「Winner-takes-all(勝者総取り)」状態です。 誰よりも深く考え、行動に移し、色々な縁を活かした、ベゾス氏と 馬雲(ジャック・マー)氏の実績です。 しかし、この状況が本当に人の幸せに繋がるのか? というと、私は疑問です。 潤沢な資金と多くの優秀な人材を有し、膨大な情報を武器に、 あらゆるビジネスを自由にコントロール出来る企業は、いつしか「共存」ではなく、 「支配」することが目的となるからです。 正に「世紀の一大事」と認識し、本気で備える必要があると思います。 陽明学者の張詠の言葉に「事に臨むに三つの難あり」という考えがあります。 ---------------------------------------------------------------------- 能く見る、一なり。 見て能く行ふ、二なり。 まさに行ふべくんば必ず果決す、三なり。 ---------------------------------------------------------------------- 大事に対して、その与えられた条件下で確実に成果を得るためには、 本当に重要な事を明確にして「一を以て之を貫く」決断をおこなう。 その為にまず、徹底的に情報を集める。 全身で観察・洞察する、分析する。 次に勇断し、緻密且つ徹底的に行動する。 最後に、他の選択肢、可能性を捨て去る覚悟が必要です。 何を貫くかは、経営者の経営観で大きく異なります。 セレクトショップBEAMSの今年のお取引先様忘年懇親会で、設楽社長のご挨拶に ハッとさせられ、感銘を受けた一言です。 ----------------------------------------------------------------------- 「利益を最大化させるためにAIを利用するのではなく、 BEAMSは、温かい会社をつくるためにAIを活用したい。」 ------------------------------------------------------------------------ 人を活かす経営者は、ハイテクという武器を花束にも変えるのですね。 AIはリストラの目的ではなく、社員の価値向上のために活用出来ると思います。 困難を縁として受け止め、それを活かしたお話があります。 お時間がございましたら、是非ご一読下さい。 「志が縁をつくり、感謝が縁を活かす」(RHIZOME PRESS〔Vol.026〕) ⇒ http://www.rhizome-e.com/topics/hitokoto/hitokoto026.html 株式会社リゾーム 代表取締役 中山博光 今年最後のメルマガです。本当に一年間ありがとうございました。 皆様からのメッセージ、お会いした時の励ましのお言葉に支えられ、 今年もなんとか続けることが出来ました。心よりお礼申し上げます。 来年もよろしくお願い申し上げます。 +---------------------------------------------------------------------+