社長の一言集

第137号 「人事を尽くし未来に備える」

2017/11/24
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「人事を尽くし未来に備える」
                            2017年137号
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2017年もあと1ケ月余りとなりました。

今年は、第45代アメリカ合衆国大統領トランプ氏就任に始まり、安倍内閣を揺
るがした森友・加計問題、北朝鮮のミサイル発射による威嚇、イギリスのEU離
脱宣言、都議選での自民党惨敗と小池旋風到来、ヤマト運輸の料金値上げ、東
芝が米WHの破産法申請を発表、民進党の解党・分裂、衆院戦での自民党圧勝等、
本当に色々な出来事のあった年です。

それぞれの状況下で、そこに携わった人々は、それが「正念場」であったり、
「修羅場」、又は「土壇場」でもあったかもしれません。

■「正念場」は、「性根場」とも書き、自分の性根と深く向かい合って、答え
 を導き出す局面です。

■「修羅場」の語源は、古代インドの仏教の神話で、阿修羅王(あしゅらおう)
 と帝釈天(たいしゃくてん)の激しい争いの場面で、その壮絶さから「修羅
 場」と現したそうです。

■「土壇場」は、罪人の刑を執行するために、土を盛って築いた壇の場所を意
 味する言葉で、どうにもならない場面や最後の覚悟を迫られる局面とされて
 います。

三つの場を迎えた時に、その人が過去の人生(時間)をどのように使ってきたか
で、場の受け止め方、対応方法、結末に大きな差が現われます。

牛尾治朗氏(ウシオ電機(株)会長) 
月刊『致知』2010年6月号「巻頭の言葉」より
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 経営は、そこにどれだけの時間を投入したかによって決まるものです。
 しかし私は、青年会議所(JC)を卒業した後も多数の公職に携わり、経営との
 両立を図ってきました。
 私にそれができたのは、自分なりの時間の哲学を持っているからです。

 一日に使える時間は、睡眠や食事など生活に必要な時間を差し引くと、14時
 間あります。
 一週間で100時間とすれば、一年では5,000時間ほどになります。
 ビジネスマンの一般的な労働時間はこのうち2,000時間程度ですから、自分
 で管理できる時間は年間3,000時間もあります。

 多くの人は、この3,000時間をどう使うかということが不明確なために、た
 だ忙しいという感覚だけで無為に時間を費やしてしまうのです。

 私は自分の使う時間を、情報をインプットする時間とアウトプットする時間、
 仕事の時間とプライベートの時間、プライベートの中でも勉強する時間と純
 粋に楽しむ時間に色分けして手帳に記し、それらのバランスを常にチェック
 しています。

 経営の重責を担っている以上、仕事に費やす時間が2,500時間、3,000時間に
 達することも当然あります。
 経営者に限らず、仕事で何かを成そうというのであれば、当然多くの時間を
 投入すべきでしょう。

 それでも私は、5,000時間の自分の時間を常にしっかりとデザインしていた
 ので、経営以外にも様々なことに従事することができたのです。

 50歳を過ぎてからは、「無所属の時間」を意識するようになりました。
 これは作家の城山三郎さんの言葉で、人は会社や団体など、どこの組織にも
 属さない無所属の時間を持ち、そこでどう生き直すかを自身に問わなければ
 ならない。
 それが人間の大きさをつくるというのです。

 私自身も、経営以外の時間に、様々な感動、感激、悲しみ、苦しみを味わい、
 多様で彩りに富んだ体験をすることが、経営にもプラスになることを実感し
 ています。

 仕事に追われ自分の時間が持てないと嘆く人はたくさんいますが、実は一人
 ひとりが毎日、自分の個性をどう生かし、与えられた時間をいかに使うかと
 いうことを試されているのです。
 音楽にたとえるなら、楽譜を渡され、自由に演奏してみなさいと言われてい
 るようなものなのです。

 ベートーヴェンの交響曲『運命』は一つですが、小澤征爾が指揮するのと、
 カラヤン、バーンスタイン、フルトヴェングラーが指揮するのとでは、演奏
 時間も曲の強弱もまったく違います。

 自分に与えられた時間をどう生かし、何を創造するかはその人次第。
 流れる時間は有意義なものにも、無益なものにもなります。

 一人ひとりが人事を尽くし、豊かな人生を築いていただきたいものです。
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時間には「生活時間」、「仕事時間」、そして「無所属時間」があるのですね。
人それぞれ、時間の使い方は自由ですが、与えられた時間は有限です。

無所属時間には「趣味」や、「社会奉仕」、「学び」等、色々な時間があると
思いますが、「備え」についての時間も重要です。

『7つの習慣』の筆者スティーブン・R・コヴィー氏は、最も大切な時間管理に
ついて「重要であるが、緊急でない事」にフォーカスして取り組むべきである
と、述べています。
これが、「備え(危機管理・未来創造)」の部分です。

日常の生活時間、日々の仕事時間からは見えない未来の「リスク」、「チャン
ス」を探す時間をしっかり意識して確保する事が大切です。

昨今の国内外の社会情勢、色々な出来事を見ていると、私たち一人ひとりが、
「未来に備える」ために真剣に考える時間と、「人事を尽くす」行動の重要性
を強く感じます。

 与えられた自分の人生を
 誰のために生きるのか
 何のために生きるのか
 どのように生きるのか  

その自問自答の時間に「正念場」があります。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光                                                                                          
                                                                  
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