社長の一言集

第136号 「戦力」「士気」「変化」「心理」「理念」

2017/10/27
今年の10月は、政治と野球の世界で色々な戦いが繰り広げられました。
勝負の世界では、強者が必ず勝者になるという事はありません。
一瞬のスキ、僅かなミス、判断の間違いでの、どんでん返しがあります。

又、勝者となったとしても勝者であり続ける保証はありません。
最近、衝撃が走った、業界大手老舗企業の神戸製鋼の不正問題は影響範囲が予
測できない位の深刻な状況です。

スポーツの試合では、勝つか負けるかですが、経営、政治の世界では「消滅」
という最悪の結果が待ち構えています。
勝者の気の緩み、驕り、隠蔽体質は、魔が差したでは済まされない、本当に恐
ろしい病魔です。

現在は野球評論家で、ヤクルト、阪神、楽天とセパ両リーグで監督を務めた野
村克也氏の言葉です。
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 勝負を決める要素には、「戦力」「士気」「変化」「心理」の四つが
 ある。

 このうち、戦力不足を嘆いてもはじまらない。
 育成と並行して、残りの三つでそれをいかに補うか。
 それが、リーダーの腕の見せ所と言える。
 なかでも重要なのが変化と心理。
 このふたつを味方につければ、おのずと士気は上がり、士気が上がれば選手
 は能力以上の力を発揮するからだ。
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私は、経営で勝ち残るためには、更にもう一つ「理念」という要素が必要では
ないかと思います。自らを律するブレーキの役割です。
理想の会社にするために、強い信念を持って止まる勇気を持つ。
一線を超えない手前で止まると書いて、「正」という漢字になります。

先月9/19の日経新聞に広島東洋カープ緒方監督の記事がありました。
「緒方監督、持たざる者の強さ」権藤博氏寄稿
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 広島・緒方監督の佐賀・鳥栖高の先輩にあたるのが、本紙「悠々球論」の筆
 者、権藤博さんだ。
 この連覇をどう見るか、同郷人としての視点から寄稿してもらった。

 故障するまで4番の大役をこなした鈴木や「スーパーサブ」として勝利に貢
 献した西川ら、広島の選手はみんな優しい表情で戦っているように、私には
 みえた。

 チーム内の競争はどこよりも激しく、内に秘めたものは当然である。
 しかし、安直に顔に出るのは本当の闘志とはいえず、表に出ないところにむ
 しろ恐ろしさがあった。
 これは緒方監督のキャラクターによるところがあるのではないか。佐賀・鳥
 栖の生まれ。しゃれたパフォーマンスとは無縁で、悔しそうな表情もみせな
 ければうれしそうにもしない。

 昨年抑えを務めた中崎が出遅れて、いきなりの非常事態となった今季。
 それでも慌てず、騒がず。抑えは現代野球で一番大切なポジションとする私
 からすると、よく乗り切れたものだと思う。
 たぶん、緒方監督は何かが足りないということに慣れているのだ。

 時代は違うが、同郷人として物と人であふれかえる大都会では身につかない
 ものを得たと想像できる。
 鳥栖高野球部の合宿をみると親が何千円ずつか出して経費をまかない、食事
 を作り、選手は体育館のようなところで雑魚寝という昔ながらの生活をして
 いた。
 普通の公立高だから夜の8時から10時までは勉強の時間。強豪校ならバット
 を振り込んでいる時間だろう。

 ないものねだりはしない、時間がなければそのなかで最大の効果が出るよう
 に集中する、といった性分が鳥栖ではぐくまれた。これが広島という球団に
 マッチしていた。
 FAとなったときに破格の待遇で巨人に行く手もあったようだが、広島に残っ
 た。
 詳しい経緯は聞いていないが、きらびやかで、お金でどうにでもなるという
 大都会や球団は私と同じで似合わないのは確かだろう。

 人がいなければ育てるのみと、地道に鍛え上げられた広島の選手は10年目で
 レギュラーとなった安部ら骨太の選手ばかり。
 今ではよそもうらやむ巨大戦力となったが、あくまでそれは球団や監督の持
 たざる者の発想からできあがったものだ。

 セ・リーグの他のチームも広島に負けないくらいの素材を取ってきている。
 しかし、短期で見切って、とっかえひっかえするものだから育つものも育た
 ない。
 緒方監督は違う。例えば石原、会沢、磯村の3人制をとっている捕手の使い
 方。
 会沢、磯村を先発させた場合、リードして抑えた終盤はベテラン石原の頭脳
 で逃げ切ろう、となりそうなものだが、1試合を丸々任せるケースが多い。

 人はすぐは育たないということが身にしみているから、目先の勝負に走らな
 い。
 育成で勝負してきた広島にとって当たり前のこと。それをおそらく我慢とす
 ら意識していないところに、田舎育ちのたくましさがある。
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圧倒的勝率で、今年のリーグ優勝を飾った広島東洋カープは、ラミレス監督率
いる横浜DeNAベイスターズに日本シリーズ進出を阻まれてしまいました。
正に勝負の世界は結果が出るまで分かりません。

野球史上最大の"下克上"で日本シリーズ出場を決めたラミレス監督が大事に
している言葉は「凡事徹底」だそうです。

「凡事徹底はヤクルトの選手時代に知った日本語。野球は全員が正しいことを
しっかりやらないと勝利につながらない。
監督となって、われわれにぴったりの言葉だと考えた」

日本シリーズ、政治では、どんな勝負が繰り広げられるか目が離せません。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光                                                                                           
                                                                  
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