社長の一言集
第103号 「往く道は精進にして、忍びて終わり、悔いなし」
2014/12/26
---------------------------------------------------------------------- 「往く道は精進にして、忍びて終わり、悔いなし」 2014年103号 ---------------------------------------------------------------------- 「往く道は精進にして、忍びて終わり、悔いなし」は、今年11月に亡くなった 俳優の高倉健さんが天台宗大阿闍梨の故・酒井雄哉(ゆうさい)氏から贈られた 言葉です。 お二人は俳優と仏門という違いはあれど、それぞれに与えられた道を究める中で、 互いに認め合い、信頼の絆で結ばれていました。 健さんは、最期の手記にこのような言葉を残されています。 「僕は、志があって俳優になった訳ではない。思いもよらない変化をかいくぐり ながら、出逢った方々からの想いに応えようと、ひたすらにもがき続けてきた。」 この文章を見た時に、マドルスルー【maddle through】という言葉が浮かびました。 ---------------------------------------------------------------------------- マドルスルー: 解決策も方針も見えない混沌とした状況で、泥の中で必死にもがき続ける。 諦めずに、がむしゃらに手探りで突き進んでいるうちに、その状況を切り抜け、 新しい境地を得る事。 ---------------------------------------------------------------------------- 健さんは、戦後、大学を卒業してもなかなか就職先が見つからず、知人に芸能 プロダクションのマネージャーの仕事を紹介され、面接を受けに行った喫茶店で、 たまたま居合わせた映画会社の所長にスカウトされ、まったく経験のない俳優の 道に食べるために入ったそうです。 酒井雄哉氏も終戦後は、図書館の雑用係や、ラーメン屋の手伝い、株屋など職を 転々とし、奥様の自殺等、苦難の人生を歩まれた後、あるご縁で仏門の道に入ら れたそうです。 最初は志のなかったお二人が、それぞれの道で大きな偉業を達成されたことは、 死の直前まで、与えられた道でひたすらにもがき続けてこられた鍛錬の賜物ですね。 先月、㈱プレジデント社により発刊された、大前研一氏の「日本の論点2015〜16」 は、幅広い視点で、日本の今後の課題についてまとめられています。 その中で、日本にとって最も大きな課題として述べられているのは、返済メドが 立たない1,000兆円超の国家債務についてです。 30年も昔に、日本の再建に取り組まれた第二臨調会長の土光敏夫氏の1982年の日本 経済新聞「私の履歴書」でのメッセージがあります。 ---------------------------------------------------------------------------- 行財政改革問題は、わが国が国家として取り組まねばならない最大の問題で、 しかも焦眉の急を要する。現在、国債が八十二兆円出て、地方債も四十兆円近い。 国民一人当たりの勘定にすると、赤ん坊まで入れて百万円の借金があり、三人 家族なら三百万円の計算になる。 こんな事は欧米にも例がないし、ましてわが国でも、太平洋戦争の時の水準を 超えている。 ---------------------------------------------------------------------------- 土光氏は国家的危機を回避すべく1987年に91歳で亡くなる直前まで、日本の為に 尽力されました。 しかし、1人当たりの借金は当時の10倍の1,000万円にまで膨らんでしまい、更に 人口減少、通貨価値の下落と悪条件が重なっています。 正に今の日本は首まで泥の中に浸かってしまった状態です。 この日本の危機を予見した土光氏の未来へ向けた言葉があました。 ---------------------------------------------------------------------------- 目先の現象に一喜一憂せず、どんと構えて正面から物事を受け止める、 そういう根性のある人こそが生き残る時代だと思うのだが、はたしてこれは 極論すぎるのでしょうか。(土光敏夫氏) ---------------------------------------------------------------------------- いつの世も、マドルスルーを抜け出し未来をつくるのは「人に尽きる。」 ということを確信します。 株式会社リゾーム 代表取締役 中山博光 +-------------------------------------------------------------------------+