社長の一言集

第91号 「悲しみも、喜びも、感動も、落胆も、常に素直に味わう事が大事だ。」

2013/12/26
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  悲しみも、喜びも、感動も、落胆も、常に素直に味わうことが大事だ。
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数年前に剣道六段の剣豪の方からお聞きした話です。
全日本剣道選手権で幾度も優勝した警視庁師範八段の老剣士の方と対戦される
機会があったそうです。
相手は老人と、たかをくくっていたが、いざ構えてみると、まったく隙がなく、
自分の体が緊張で動かなかったそうです。そして、敢え無く一本負け。

その後、その先輩剣士から指導を頂いたそうです。
指導は高度な技や精神論ではなく、実に簡単で初心者の子供達に教えるような
基本中の基本である竹刀の握り方、足の構え方を丁寧に教えて頂いたそうです。
基本を深く身につけているか、あたり前の事をきちんと実行しているかが本当の
強さだと改めて痛感したそうです。

頂点を極めている人は、基本を大切にし、日々鍛錬されているのですね。
鍛錬とは、深い技術、技を得るために多くの日数を要するもので、千日の稽古では
まだ「鍛」のレベル、万日の稽古を積んで「錬」の域に達すると聞いています。
石の上にも3年と言いますが、千日でやっと一人前、30年の万日でやっと一流に
手が届く。日々の試練の積み重ねの上に存在する言葉です。

先週、20日にHondaの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフトカンパニーは
米国連邦航空局より型式検査承認を取得しました。
2015年から、いよいよホンダジェットの販売開始が実現します。
1962年(昭和37年)に本田宗一郎氏が航空機事業への参入を宣言してから実に
50年以上の歳月を経ての夢の実現です。

本田宗一郎氏と世界のホンダを育てた藤沢武夫氏の
「松明(たいまつ)は自分の手で」PHP出版社より 
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 われわれが知らなければならないことは、われわれのおかれている位置が、
 われわれの進んでいく方向が、正しいか、正しくないか、ということを
 知るのが、一番大事である。
 だから、いま現在、繁栄しているかどうかということは、それは二番目に
 なってしかるべきである。(中略)
 オートバイというものなんかは、そんなに需要があるということをだれも
 考えもしなかった。しかし、三年なり五年なり、だんだん積み重ねて、
 これが将来伸びるという確信を持って進んできた。
 もちろんその時分には、もっとほかにいい商売がいくらもあった。
 あれならもうかる。砂糖だとかセメントだとか....。
 そういうものを作れば十分企業として成り立つということもわかっていた。
 しかし、それでは近代産業というものは成り立たない。
 みんなが将来ほしいであろうというものを、じっくり考えて、それに向かって
 進んでいくことが必要である。
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国からの援助も受けずに、独自の力でジェット機完成の快挙を成し遂げたホンダの
DNAがこのメッセージだと思います。

大正3年、小学校2年生の時に初めて見た飛行機の感動を追い続けたホンダの
創業者であり、DNAである本田宗一郎氏は、人生と経営を鍛錬した、正に一流の
名経営者です。

その本田宗一郎氏が鍛錬を繰り返す中で残された深いメッセージがあります。
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 悲しみも、喜びも、感動も、落胆も、常に素直に味わうことが大事だ。
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"悲しみに始まり、落胆に終わる"ところが、創業経営者である本田宗一郎氏の
鍛錬を味わい尽くした人生の境地でしょうか。

われわれの会社は何のためにあるのか?
われわれの会社はどこを目指しているのか?
今、われわれは何処に位置しているのか?

という問いを常に繰り返し、念い、実行し、更に自問自答し、愚直に鍛錬を
続ける姿こそが「経営の基本」なのかもしれません。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

今年一年、本当にありがとうございました。
私自身、「禍福は糾える縄の如し。」を実感する一年であった気がします。
皆様からお寄せ頂いたメッセージ、お会いした時の励ましのお言葉に支えられ、
今年もなんとかメルマガを続けることが出来ました。
心より感謝申し上げます。 
どうぞ良いお年をお迎えください。

年末になると、いつも読み返す、実話を掲載した過去のメルマガがあります。
困難を縁として受け止め、それを活かす事を思い出させてくれるお話です。
お時間がございましたら、是非ご一読下さい。

「志が縁をつくり、感謝が縁を活かす」(RHIZOME PRESS〔Vol.026〕)
 http://www.rhizome-e.com/topics/hitokoto/hitokoto026.html

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