社長の一言集

第89号 「優れた者ほど間違いは多い」

2013/10/31
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 「優れた者ほど間違いは多い」
                                                       2013年89号
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台風26号の影響で伊豆大島の方々が大きな被災に見舞われました。
亡くなられた方々、未だ行方不明の方々に心より哀悼の意を表します。

シャープ株式会社の創業者である早川徳次氏のエピソードを紹介します。
徳次氏が国産第一号のテレビを発売した昭和29年頃の話です。
徳次氏はシャープ本社近くの大阪市阿倍野区に「育徳園」という保育園を
つくりました。
その保育園には、母子家庭や、共働きの家の子供たちが多く入園してきました。
理由は、その保育園には当時としては珍しく調理室を備えた給食設備が整って
いたからです。
ある時、保育園に障害者の方々を招いて、餅つきをしようという企画が持ち上
がりました。しかし、保母さんたちは不安でした。
それは、両手のない体の不自由な人たちにどのように食べてもらったらよい
のかについて悩んでいたのです。

すると、徳次氏はいつもの軽い口調で話しはじめました。
「何を迷っているんだい。普通に出しゃあいいんだよ。」
「普通に二本の箸をつけて。」
「これで食べにくけりゃ、ああして欲しい、こうして欲しいって
 言ってくるよ。」
「どうしてやろうなんて大それたことを考えちゃいけないよ。」
「出来るときに出来ることを、出来る人がすればいいんだよ。」
「安っぽい同情の奉仕なんか、相手に失礼だよ。」
「相手の自主性を尊重してあげなさい。」

後に育徳保育園の理事になる竹垣幸子さんは、当時この徳次氏の一言に、
"目が覚めた"と語っています。

何か初めての事に挑戦する時、人は不安を感じ立ち止まってしまいます。
事前に調べたり、誰かに聞いて対応できるような前例のある事だと準備も
心構えも出来るのですが、未知の事については、始める前から出来ないもっとも
な理由が先に出て、ほとんどの人が、事なかれを重んじ上手に止めてしまいます。
重要であったり、困難な事だと尚更です。

偉業を成し遂げた先人達の取り組み方を見てみると、
 ?まず試してみる
 ?何が問題かを見つける
 ?問題を解決する努力をする
 ?諦めずに最後までそれを続ける のプロセスを実行されているようです。

いきなり両手のご不自由な方の意見も聞かずに対応策を考えても、自らが考えた
手段に囚われ、ご本人に満足いただける最良の解決策は見つけることが出来ません。

徳次氏は数々の艱難辛苦と、それを乗り越えて来た経験の中から
どんな状況でも、素直に、前向きに、まず取り組んでみる事が最善の策である事
を知っていたのではないかと思います。

ピーター・ドラッカー博士著「現代の経営」より
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「優れた者ほど間違いは多い。それだけ新しいことを試みるからである。
 一度も間違いをしたことのない者、 それも大きな間違いをしたことのない者を
  トップレベルの地位に就かせてはならない。
  間違いをしたことのない者は凡庸である。
  その上、いかにして間違いを発見し、いかにしてそれを早く直すかを知らない。」
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他人事ではありません。日々是精進です。

                        株式会社リゾーム
                         代表取締役 中山博光

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