社長の一言集
第76号 「想定外のリスクのための保険料」
2012/10/01
---------------------------------------------------------------------- 「想定外のリスクのための保険料」 2012年76号 ---------------------------------------------------------------------- ドラッカー氏はその著書『創造する経営者』の中で、経営計画を作成する際、 まず4つのリスクを明確にせよと述べています。 第一に、負うべきリスク 製薬会社であれば、副作用等 第二に、負えるリスク 失敗しても多少の損失で済む 第三に、負えないリスク 失敗したら会社が倒産する 第四に、負わないことによるリスク(乗り遅れ)である 先般来、大きな社会問題となっている中国のデモ・暴動については、弊社お客様 である平和堂様の様子が何度もテレビ等で放映され、とても心配しました。 幸い、負傷者が出なかったことがせめてもの救いです。 平和堂様の中国での展開は、中国湖南省と平和堂様の地元滋賀県で1983年に 姉妹都市協定が結ばれ、平和堂創業者名誉会長の夏原平次郎氏が湖南省を訪問 されたのがきっかけです。 湖南省の経済担当者から大型商業施設の出店要請を強く受けたのですが、 当時、中国ビジネスは危険だということで、社内だけではなく銀行、取引先から もずいぶん反対されたそうです。 最終的に名誉会長の「失敗したら自分が持っている自社株を処分して弁済する」 という説得での中国進出となったそうです。 1998年に湖南平和堂中国1号店がオープンしましたが、開店して10年間は商習慣の 違いや、労働に関する価値観の相違等により、相当なご苦労があったようです。 2007年に2号店開店、2009年に3号店開店と徐々に業績を伸ばし、昨年は中国での 収益が会社全体の収益にも大きく貢献できるところまできた矢先の暴動騒ぎです。 中国進出の日系企業は「2万2307社(2011年中国貿易外経統計年鑑)」とも 言われています。 改めて中国進出リスクを考えなければならない事態になりました。 正に事態は想定外のリスクに及んでいます。 ■反日デモに便乗する形で従業員による賃上げ要求などが発生している ■通関の遅れなどで、中国からの入荷が遅れている ■日本からの輸入品も全量検査の対象となり遅れている ■撤収について賠償問題や、資産没収が発生している ■長期的にどんな事態になるのか、想定するのは誰もが困難 ■景気成長の減速 ■海外からの投資抑制 ■物価の急激な上昇 ■不動産バブルの崩壊 ■2030年には高齢化世界一 ■多くの国民が養老保険未加入 ■所得格差の更なる拡大 ■賃金上昇による他国への生産流出 ■政治不安等 上記のように、中国のリスクは反日本だけではなく、更に大きなリスクが 潜んでいます。 その後の発表によると、平和堂様の中国デモ被害の直営店損失は18億円、 テナントの被害は30億円となっています。 又、4号店については計画通り来夏に開業する方針を出されています。 グローバル化の中、社会・政治環境の変化による直接・間接リスクは、業種を 問わず、どの企業であろうと避けられない時代です。 しかし、リスクを避けて経営活動を止める事も出来ません。 ドラッカー氏は「リスクの有無を行動の基盤にしてはならない。」 そして、「リスクに備え適切な保険料をかけなければならない。その保険料を 稼ぐのが利益である」と述べています。 私は、保険料はお金だけではないと思います。 人材への投資、信用・信頼の経営への取り組みもあるのでないかと思います。 暴動の押し寄せる中、平和堂様の日本人スタッフの皆さんと一緒に店を守ろうと 店内に残ってくれた現地の中国人スタッフの映像を見た時に涙が止まりません でした。平和堂創業者名誉会長の夏原平次郎氏の中国への念い(おもい)と、 経営理念は国境を越えて「お客様のための店づくり・人づくり」を実現されて いたと思います。 平和堂様だけではなく、弊社の沢山のユーザー様が中国へ進出されています。 今後、日本企業で一緒に働く中国の素晴らしい人材が両国の未来づくりを推進 してくれることを期待します。 株式会社リゾーム 代表取締役 中山博光 +--------------------------------------------------------------+