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 社長からの一言 Vol.243 「感謝と畏(おそ)れを忘れるな」 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 私たちは今、天災や紛争、経済格差の拡大、さらにはAIの急速な進化と制御不能リスクなど、誰も明確な答えを示せない未知の課題と向き合っています。いずれも、これまでの常識では捉えきれない出来事ばかりで、社会には不安と「おそれ」が広がっています。 ここでいう「おそれ」とは、単に「怖い」という意味だけではありません。自然や神仏、常識では説明できない出来事など、人間の力ではどうすることもできない大きな存在や力を前にした「畏れ」、先行きの見えない状況への「恐れ」、そして危険を察知して身を引き締める「怖れ」等です。それぞれ異なる意味を持ちながらも、私たちに今までにない警鐘を鳴らされている気がします。近年では「畏れ」という言葉を耳にする機会も少なくなりましたが、これからの時代にこそ、その意味を改めて認識する必要があるのではないでしょうか。 たとえば天災です。地震や記録的豪雨に直面すると、誰もが強い「怖れ」を感じます。同時に、人知を超えた自然の力に対する深い「畏れ」も抱きます。無秩序な自然破壊や地球温暖化が進むなか、天災による被害は年を追うごとにどんどん酷くなっています。 だからこそ、日頃から備えを怠らないことが何より重要です。事前の備えが、いざという時に大きな助けとなります。私たちは2011年の東日本大震災で、「事後の百策より事前の一策」の重みを痛感しました。 紛争もまた、決して遠い国の出来事ではありません。エネルギーや物流、物価などを通じて、私たちの暮らしや企業活動に直接影響を与えています。そこには、将来を見通せないことへの「恐れ」があります。一部の国による覇権主義的な振る舞いには憂慮すべきものがありますが、だからこそ私たちは世界の動きを他人事とせず、冷静に見つめ、備え続ける必要があります。 さらに、AIの想定以上の進化です。予想をはるかに超えるスピードで自己成長するエージェントAIと、私たちはどのように向き合うべきなのでしょうか。AI脅威論が現実味を帯び始めた今、そのリスクは計り知れないものがあります。制御不能な「畏れ」とならないよう、私たちはそのリスクと制限を早急に見極め、しっかり備えなければなりません。 2023年の202号のメルマガで危惧していたことが現実化しようとしています。 『徳は才の主にして、才は徳の奴なり。』(2023年 Vol.202 RHIZOME PRESS)より ---------------------------------------------------------------------- 中国の古典、菜根譚の一節です。 「徳は才の主(しゅ)にして、才は徳の奴(ど)なり。 才ありて徳なきは、家に主なくして奴の事を用うるが如し。 幾何(いくばく)か魍魎(もうりょう)にして猖狂(しょうきょう)せざらん。」 意味は、「人格が主人で、能力は召使いにすぎない。能力には恵まれても人格が伴わないのは、主人のいない家で、召使いがわがもの顔に振る舞っているようなものである。これでは、せっかくの家庭も妖怪変化の巣窟と化してしまう。」です。 これを見つけた時に、召使いがAIに重なって見えたのは、私だけでしょうか? ---------------------------------------------------------------------- 更に、現在における事態は深刻で、召使いが集団で勝手に他人の家に忍び込み、攻撃を起こし始めたかのようです。それを防ぐどころか、助長する一部の悪質な主人がいることも人類のリスクを拡大しています。 しかし、これらの「おそれ」は、私たちを萎縮させたり、悲観させるためのものではありません。むしろ、変化への挑戦を促し、備えを深め、視野を広げながら、何を守り、何に挑むべきかを教えてくれるものです。畏れは謙虚さを、恐れは準備を、怖れは注意を促してくれます。 私たちは「おそれ」を避けるのではなく、それを知恵へと変えながら生きていかなければなりません。そして、何気ない日常の「有り難さ」に感謝し、未来のために今、出来ることをしっかり実行していくことが求められます。 とりわけリーダーには、先憂後楽の精神を持ち、誰よりも先に危機を見据え、備え抜く覚悟と行動が求められます。 藤尾秀昭氏 著『人生の大則』(2014年3月 致知出版社刊)より ---------------------------------------------------------------------- 晩年の松下幸之助氏は、「感謝と畏(おそ)れを忘れるな」とよく言ったという。 人生には人知をはるかに超えた働きがある。その目に見えないものに対する畏敬の念を失った時、何が起こるのか。その恐ろしさを熟知した人ならではの、人生の急所を衝(つ)いた言葉である。 ----------------------------------------------------------------------
株式会社リゾーム 代表取締役 中山博光
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