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【商業施設トレンド×出退店データ Vol.02】修理ニーズの広がりがもたらす商業施設への影響は!?

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昨今、壊れたら直して使うや古くなったら修繕といった廃棄を前提としない消費意識の高まりに伴い、「修理ニーズ」が広がりを見せています。

こうした背景は商業施設における出店動向にも少なからず影響を与えていると考えられます。

本記事では、弊社が毎月独自に調査・収集している「SC GATE(エスシーゲート)」のデータを基にBIツールで可視化・分析できるクラウドサービス「SC FORCE(エスシーフォース)」を活用して、修理に関連した業種・ショップの出退店動向を分析します。

商業施設を運営するご担当者様にとって、リーシングや施設活性化の検討材料として、ご参考にしていただければ幸いです。ぜひ最後までご覧ください。 

身近なものを中心に修理ニーズが広がっている

修理ニーズの広がりを確認するために、まずは日本で特に需要が高いスマートフォンの動向から見てみましょう。

株式会社MM総研が2022年に発表した「スマートフォン修理市場に関する調査」によると、スマートフォンの修理台数は2022年から2025年にかけて約50万台増加し、14%の伸びが見込まれており、2025年には年間400万台に達すると予測されています。

次に衣服の分野では、アパレル各社が自社製品の修理サービスを展開する動きが広がりを見せています。この背景には、企業としてサステナビリティを意識しているだけでなく、消費者側の長く愛用できる質の良い衣類や付加サービス、それを提供しているショップを選びたいという思考の高まりも影響していると推測できます。

最後に、メンテナンス需要の大きい腕時計の市場規模は、2024年度には推定で1兆3,104億円となり、コロナ前を大きく上回る規模にまで拡大しています。

このように、スマートフォンや衣類、腕時計といった身近な製品を中心に、「修理して使う」という選択肢が着実に広がりを見せています。

出典:
株式会社MM総研「スマートフォン修理市場に関する調査(2022年度)」 
一般社団法人 日本時計協会「2024年1~12月 日本の時計市場規模(推定)」 

修理ニーズが広がる背景と根底にある消費者心理

修理ニーズが広がっている背景を読み解くには、まずその根底にある消費者の心理に注目する必要があります。「モノを修理する」という行動には、主に2つの心理があると推察されます。

大切なものだから直してでも使いたい(感情的な部分)
高価なものだから買い直すのでなく、修理したい(経済的な部分)

また、こうした心理を後押しする背景としては、以下のような社会的な要因が挙げられます。

・物価上昇や実質賃金の伸び悩みなどによる「節約志向」の高まり
・環境に配慮した選択を重視する「サステナビリティ」の浸透
・自分らしさを表現する手段としての「モノを育てる」という価値観の定着

近年、こうした価値観や環境の変化が強まっていることから、修理ニーズも着実に広がってきていると考えられます。

しかし、世界的に見ると日本はまだ修理ニーズの広がりが限定的です。その主な理由として、制度的な後押しの不足が挙げられます。併せて、欧米に比べてサステナビリティに対する意識も十分に浸透しておらず、修理を前向きに捉える風土が育ちきっていない点も一因といえるでしょう。

欧米諸国ではすでに、「修理の権利」と呼ばれる法整備が進み、メーカーを通さずに消費者自身で修理できる環境が整っています。さらに、修理サービスへの付加価値税の軽減や、修理代金への補助(修理ボーナス)などの支援制度も導入されており、日本よりも修理を選びやすい環境が整っています。

今後、日本においてもこうした制度や支援が進めば、サステナビリティ意識の向上とともに、修理ニーズはさらに大きく広がっていくことが期待されます。

商業施設における、修理に関連した業種の出退店動向

ここからは、商業施設における修理に関連した業種の出退店動向を見ていきます。

本記事では、弊社が提供する全国3,500カ所の商業施設に出店する16万ショップ(325業種)の出退店データをBIで活用できるクラウドサービス「SC FORCE(エスシーフォース)」を用い、2017年1月から2025年4月までの動向をデータから読み解きます。

本サービスにおいて、修理に関連したショップは、大業種「サービス」>中業種「身の回り修理」に分類されています。

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商業施設に出店している「身の回り修理」の店舗数は、2017年1月時点の2,186店舗から2025年4月には2,345店舗へと約150店舗増加(伸び率107.3%)しています。全体としては緩やかな増加にとどまっていますが、前述の修理ニーズの広がりを踏まえると、今後の伸びが期待できる分野です。

「身の回り修理」における小業種・ショップ別の動向

中業種である「身の回り修理」には、小業種として「パソコン・携帯電話、他」「時計・貴金属」「靴・バッグ・合鍵」「洋服・着物」が含まれています。商業施設における修理ニーズの広がりをより詳細に分析するため、ここからは小業種別に動向を見ていきます。

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まず、小業種の中で圧倒的な伸びを示しているのが、「パソコン・携帯電話、他」です。直近の店舗数は496店舗に達しており、伸び率は脅威の516.7%となっています。この結果からも、スマートフォンの修理ニーズが高いことがうかがえます。

次いで、伸びているのが「時計・貴金属」です。店舗数自体は「パソコン・携帯電話、他」に劣りますが、54店舗から70店舗へ増加(伸び率129.6%)しています。コロナ禍に店舗数は減少しましたが、現在は右肩上がりの増加を示しています。

「靴・バッグ・合鍵」は、上記2つの小業種よりも規模が大きく、直近の店舗数は743店舗ですが、伸び率は83.7%と100%を大きく下回っています。

一方で、「Riat!(リアット)/運営:リフォームスタジオ株式会社」や、「MISTER MINIT(ミスターミニット)/運営:ミニット・アジア・パシフィック株式会社」は微増を維持しており、その他のショップは横ばい、または減少傾向にあります。減少の背景には、市場の成熟・飽和に加え、「自分で修理する」といったセルフメンテナンス志向の広がりも、一因として考えられます。

最後にご紹介したいのは、「洋服・着物」です。店舗数は小業種の中で最も多く、直近で1,036店舗ですが、伸び率は90.2%と100%を下回る結果となっています。この業種で他を大きく上回る出店数を誇る「洋服のお直しMAGIC MACHINE(マジックミシン)/運営:リフォームスタジオ株式会社」も伸び率は97.2%にとどまり、やや減少傾向が見られます。

この背景には、着物需要の低下に加え、アパレル各社が自社製品の修理サービスを展開し始めた影響もあると考えられます。例えば、UNIQLOは自社製品の修理やリメイクを行う「RE.UNIQLO STUDIO」を2022年10月に国内で初めて試験的に展開し、現在では全国15店舗に常設しています。

また、Goldwinが2023年1月から自社製品の修理を無償で提供する取り組みを始めたほか、ZARAも自社製品の修理サービスを開始し、2025年までに全ての戦略的市場での展開を計画していると発表されています。このように衣服の分野においては、自社で修理まで対応する体制を整えるブランドが増えつつあります。

以上の動向を踏まえ、伸びを示していた「パソコン・携帯電話、他」と「時計・貴金属」における注目のショップを見ていきます。

「パソコン・携帯電話、他」で注目のショップ

「パソコン・携帯電話、他」に分類されているショップで、一定規模以上に成長しているのは、すべてスマートフォンの修理専門店となっています。

その中でも、特に店舗数を増やしているのが、「SMART COOL(スマートクール)/運営:株式会社シナジーグローバル」です。2017年4月に商業施設に初出店して以降、着実に店舗数を伸ばし、直近は111店舗(伸び率11,100%)となっています。

「SMART COOL」は、商業施設内の店舗がほとんどで、最短30分での修理に対応しています。また、iPhoneの修理を中心に、android端末やNintendo Switchにも対応しており、こうしたスピード感と幅広い対応力が、店舗拡大を後押ししていると考えられます。

「時計・貴金属」で注目のショップ

「時計・貴金属」の中で店舗数が減少することなく、継続的に増え続けているのが「時計宝石修理研究所/運営:株式会社ミノル」です。

直近の店舗数は11店舗と規模自体は大きくありませんが、大阪を中心に東京・愛知・京都・兵庫といった、都市部にのみ店舗展開しています。その背景には、時計や宝飾品を扱うハイブランド店が地方から撤退し、都市部へと集約されている流れがあり、そうしたエリアでは修理やメンテナンスのニーズも集中しやすいと考えられます。

「時計宝石修理研究所」では、他店で修理を断られた時計にも対応しているほか、国家資格である「時計修理技能士」の有資格者のみが修理を担当しています。また、スイスの有名時計工具メーカー「BERGEON(ベルジョン)」とコラボレーションした店舗を展開していることも特徴の1つです。

商業施設での展開はまだ限定的だが
注目したいショップ

最後に、「SC FORCE」の新着ショップ機能を活用し、商業施設での展開はまだ一部にとどまっているものの、新しい切り口で注目したいショップや、修理サービスを始めた大手ブランドの事例をご紹介します。

SARTO Salone

「SARTO Salone(サルト サローネ)/運営:有限会社中部繊維工業」は、店内にソファやテーブルなどが用意されたサロンスタイルのお直し専門店で、2025年3月に商業施設内にオープンしました。

「装いに、サステナビリティを。」をコンセプトに、従来のリペアサービスに加え、オーダースーツやヴィンテージ販売など、多彩なサービスが提供されており、一般的なお直し店と比べて価格帯は高めです。

近年では、アパレル各社も自社で修理サービスに取り組む動きが広がっていますが、「SARTO Salone」のようにハイクラス層をターゲットにした付加価値型のサービスは、今後も一定の需要が見込まれ、さらなる店舗展開も期待されます。

無印良品

新しい切り口のショップではありませんが、「無印良品/運営:株式会社良品計画」が2025年3月に奈良県に開業した店舗には、リペア工房が併設されています。

このリペア工房では、専門スタッフが日本や世界の古家具を修理・メンテナンスする様子を見学でき、修理された家具は同店舗内で販売されています。

修理対象は古家具に限られていますが、同店舗では無印良品として初めて、リユース商品の販売対象を家具・生活雑貨・服飾雑貨にまで拡大しています。

このような取り組みは、修理ニーズの広がりを後押しするとともに、サステナビリティの観点からも注目したいです。

まとめ

本記事では、様々な社会的要因に伴い、広がりを見せている修理ニーズが、商業施設での出店動向にどのような影響を与えているのかを、データをもとに分析しました。

その結果、修理専門店が含まれる「身の回り修理」の伸び率は107.3%と微増にとどまりましたが、節約志向の高まりやサステナビリティ意識の向上といった消費者心理への影響を考えると、今後の伸びが期待できる分野です。

また、修理の需要が高いスマートフォンの修理専門店が含まれる「パソコン・携帯電話、他」は、516.7%という非常に高い伸び率を示し、中でも「SMART COOL」は着実に店舗数を伸ばしています。

こうした修理ニーズの広がりを捉えた修理専門店の出店は、来館機会の創出や、サステナビリティを意識した施設づくりにもつながる可能性があります。

修理市場はさらに拡大することが予測されるため、今後の動向にも引き続き注目していく必要がありそうです。

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