不動産仲介業(賃料収入)、小売業(商業施設)、サービス業(施設運営)といった様々な側面を持つ商業施設の運営において、「情報」はとても重要です。商業施設全体の動向、不動産や小売などの業界トレンド、競合施設の取り組み、最新トピックなど、様々な情報を収集し、業務に活かすことが業績向上に直結します。
しかし、情報が飽和化する現代において、受け取る側が取捨選択する必要もあり、正確かつ価値のある情報だけを収集することは容易ではありません。このような環境下で、商業施設運営企業のご担当者様は、どのようなメディアから情報収集しているのでしょうか。
今回、運営企業のご担当者様に「普段、どのようなメディアから情報収集していますか?」という独自アンケートを実施しました。そのアンケート結果をもとに、ご担当者様が活用しているメディアや、情報の重要さについて掘り下げていきます。
【アンケート概要】
調査期間:2023年9月~2024年3月
調査期間:自社調査
調査対象:商業施設運営企業のご担当者様
調査方法:アンケート調査
有効回答人数:77人
ご担当者様に聞いた「普段、情報収集に
活用しているメディア」の結果とは?
商業施設を運営する企業のご担当者様に「普段、どのようなメディアから情報取集していますか?(複数回答可)」というアンケートを継続的に実施しました。その結果、最も多く回答されたのは「Yahoo!ニュース」でした。ご担当者様77人のうち、46人がYahoo!ニュースを情報収集源の1つとしていました。
次いで多かったのは、SNSの1つ「Instagram」です。Yahoo!ニュースやInstagramは業務に直結する情報の収集というよりは、一般的な基礎情報やトレンド情報の入手、またはプライベート利用が主であると推測されます。
次いで、業務への関連性が高い「日経新聞、日経MJ、商業施設新聞、繊研新聞、流通ニュース」などが選ばれました。これらのメディアは、業務に役立つ情報の収集を目的としていると考えられます。
商業施設を運営する企業のご担当者様が情報収集に活用しているメディアをカテゴリー別に分類しました。各カテゴリー内で1つ以上のメディアを回答した方の人数を計上した結果、業界専門メディアが最も多いことが分かりました。
この結果から、商業施設全体の動向、不動産や小売りなどの業界トレンド、最新トピックなどの業務に関連する情報は、業界専門メディアから収集することが重要かつ効率的であることが分かります。
また、多くのご担当者様が活用しているメディアになるため、情報収集を怠ると「情報」という点から他施設に劣る可能性が考えられます。情報不足が原因で「自施設ならではの独自価値を提供できない」「最適なリーシングが行えない」「他施設に販促で劣っている」といった問題を事前に防ぐためにも、業界専門メディアからの情報収集が必要不可欠です。
次いで、一般Webメディアが多く回答されました。Yahoo!ニュースやLINE NEWSなどは、一般情報の収集に適しています。政治やスポーツ、芸能、ライフスタイルなど、様々なジャンルが発信されているため、社会情勢などの一般知識や日々のコミュニケーションに利用できる日常的な基礎情報の収集に活用しているご担当者様が多いと考えられます。
加えて、SNSも情報収集に活用されていることが分かります。Instagramは業務に役立つ情報の収集に長けているメディアとはいえませんが、トレンドの把握やビジュアルインスピレーションの獲得には役立つ場合があり、特にファッション、デザイン、マーケティングなどの分野では有益な情報を得ることができます。
ここからは、多くご担当者様が情報収集に活用されている「業界専門メディア」に焦点を当て、具体的に得られる情報や選ばれている理由について掘り下げてご紹介します。
業界専門メディアから情報収集している
ご担当者様の割合
業界専門メディアから情報収集しているご担当者様は77人中57人、割合にして約74%ということが分かりました。この結果は、業界専門メディアが持つ影響力の高さと、業界内での情報収集における重要性を強く示しています。
また、業界専門メディアでは、特定の課題やテーマを深く掘り下げて内容が構成されているため、業務に直接役立つヒントや考察、新たな視点を得ることができ、約74%ものご担当者様が活用していると考えられます。
業界専門メディアの中でも、「商業施設新聞、繊研新聞、流通ニュース」は多くのご担当者様が情報収集源としていました。これら3つのメディアに共通しているのは、"月刊誌ではない"ということで、商業施設新聞は週刊誌(毎週火曜日)、繊研新聞と流通ニュースは日刊紙(平日/毎日)です。このことから、ご担当者様は情報提供の頻度が高いメディアを好み、鮮度のある情報を求めていると推測されます。業界の細かな動向や最新のトレンドも参考にしながら業務に取り組んでいることが伺えます。
一方で、月刊誌である「月刊プロパティマネジメント、日本百貨店協会機関紙 eジャーナル、ダイヤモンド・チェーンストア(月2回発行)」は、あまり活用されていないことが分かりました。少し業界が違うということもあるかもしれません。
しかし、「情報」という点で他施設と差別化を図るには、あえて別業種や活用している人が少ないメディアから情報収集しヒントを得ることも効果的といえます。本調査で対象となっていないメディアを有効活用することも、情報優位を確保するための1つの選択肢になるでしょう。
ここからは業界専門メディアについてさらに掘り下げるべく、多くのご担当者様が活用している「商業施設新聞、繊研新聞、流通ニュース、SC JAPAN TODAY」の特徴や得られる情報をご紹介します。
商業施設新聞
商業施設新聞は、その名の通り、商業施設に関する情報を提供することに特化したメディアです。具体的には、テナントの出店計画や小売、外食業界動向、街づくり、都市開発、店舗・施設関連などの情報が提供されています。
他のメディアと比較しても、特定のテーマが掘り下げられているため、より業務に役立つ情報を効率的に収集できます。加えて、商業施設新聞では、「関東/中部、近畿/中国」などのように分類されていて、興味・関心のあるエリアだけの情報収集が可能です。
また、商業施設を運営している企業の代表や、館長へのインタビュー特集が毎回組まれていて、他施設の動向や課題などのリサーチにも適しているメディアとなります。
繊研新聞
繊研新聞は、最新トレンドからアパレル・小売・素材メーカーの動向までファッション業界の情報を網羅しているメディアです。最近は、ファッションだけではなく、各商業施設の業績や、新規テナント出店、都市開発、各企業の取り組みなどの情報も提供されています。そのため、ファッションに関連していない業務に携わっているご担当者様も活用しているメディアの1つです。
また、独自調査によるアンケート結果やランキング記事などが発信されています。具体的には、毎年一回発表される「SC売上高ランキング」や、消費者にスポットを当てた「ファッション意識調査」などが挙げられます。このようなデータに基づいて発信される情報は、より業務に役立ちやすいのではないでしょうか。
流通ニュース
流通ニュースは、小売・流通業界に特化した専門メディアで、商業施設や百貨店、コンビニエンスストア、食品スーパー、家電量販店、外食などを対象に取材が行われています。
具体的なカテゴリーとしては、注目度の高い店舗の新規オープンや各店舗の戦略などを扱う「店舗レポート」や、流通業界で注目企業の社長、役員クラスの単独取材が行われる「流通最前線」、各企業の販促案が取り上げられる「販促」などに分けられています。その他にも、情報がカテゴリー別に分けられているため、必要なものだけを効率よく収集することが可能です。
また、流通ニュースでは「海外」に関する情報も豊富に提供されています。他施設と「情報」で差別化を図りたいご担当者様は、海外の情報を取り入れることも一つの方法です。
SC JAPAN TODAY
SC JAPAN TODAYは、日本ショッピングセンター協会が発行している月刊誌です。業界唯一のショッピングセンター関連の専門誌で、独自インタビューを通じて、各企業の取り組みや業界動向などが詳細に提供されています。連載企画としては、「日本のSC」や「話題の商業施設」などがあり、全国各地の商業施設について幅広く知ることができます。
そして、上記3つのメディアと大きく異なる点は、月刊誌であることです。そのため、最新のトレンドや注目の話題よりも、長期的な課題や取り組みについて掘り下げられていて、全く違った視点で情報収集できるメディアとなります。また、月に一回の更新により、長期間にわたる業界の動向や進展、取り組みを継続的に追跡することが可能です。
ご担当者様の情報収集メディアまとめ
商業施設を運営する企業のご担当者様に「普段、どのようなメディアから情報収集していますか?」というアンケートを実施したところ、業界専門メディアが最も多い結果となりました。
77人中57人、割合にして約74%という結果となり、商業施設運営に欠かせない「情報」は業界専門メディアからの収集が重要となりそうです。業界専門メディアの中では、商業施設新聞、繊研新聞、流通ニュースを活用しているご担当者様が多いことが分かりました。
本調査のメディア別の結果としては、Yahoo!ニュースが最も多く、次いでInstagramが選ばれましたが、業務に役立つ情報を効率的に詳細まで得られるメディアではないでしょう。
商業施設を運営するうえで「情報」は必要不可欠で、単なるデータではなく、業績を左右する重要なものです。業務に役立つ有益な情報を収集し、情報優位を確保することが、効果的な戦略の立案や競合施設との差別化、自施設ならではの価値提供などにつながります。
さらに、適切な情報をもとにした意思決定は、施設の運営効率を向上させ、収益の最大化にも直結します。このように、情報は商業施設運営において欠かせない要素であり、その収集と活用が業績向上の重要な役割を果たします。
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