リゾーム社員が考える理想の商業施設・ショップ

低コストで商品をグローバルに展開ライブコマース最前線!

会社 株式会社リゾーム
WEBサイト https://www.rhizome-e.com/solution/inbound.php
インタビュー 株式会社リゾーム 事業推進部 グローバルメディアグループ 邢 新悦(シン シンユエ)

コロナ禍で消滅したインバウンドの売上げをいかに取り戻すか。ライブコマースと越境ECで海外市場の開拓をサポートするのが、リゾームのグローバルメディアチームだ。中国では2016年頃からライブコマースが市場に浸透。中国の消費ニーズを把握するスタッフが、インバウンド販促に悩む商業施設やテナントの課題を解決する。

ライブコマースの現場に潜入!

ライブコマースではリアルタイムで商品の魅力を伝えられ双方向でコミュニケーションできるのがメリット
リゾームのライブコマースは中国市場に精通するスタッフが2〜3人でライブ配信する

…まず、リゾーム・グローバルメディアチームの業務内容をお聞かせください。

リゾームは2013年からインバウンド向けビジネスに着手し、それまで外部委託していた業務にも社内で取り組むことになりました。事業の柱は3つあります。1つ目は、デジタルマーケティング。とくに中華圏向けSNSの販促で、ショッピングセンターやアパレルメーカー、地方自治体向けにマーケティングの支援をしています。2つ目は、SNSの運用に苦労する既存顧客の課題解決です。そのために、中華圏や東南アジアに向けたコンテンツを自社のオウンドメディア「MaruMaru JAPAN(マルマルジャパン)」で配信しています。3つ目は越境ECサイトの構築やライブコマースなどのサービスを提供しています。

…シンさんの仕事内容は。

私は中国出身で来日11年目になります。2018年にリゾームに入社し、グローバルソリューション事業の立ち上げに参画しました。主な仕事は、中華圏、東南アジア向けのインバウンド販促と越境EC、ライブコマースの担当で、チーム全体のマネジメントをしています。

…オウンドメディア「MaruMaru JAPAN」がターゲットとする客層と配信するコンテンツは。

中華圏向けに「Weibo(ウェイボー)」「WeChat(ウィーチャット)」「小紅書(レッド)」、東南アジアと欧米向けに「Facebook (フェイスブック)」と「Instagram(インスタグラム)」のアカウントを持っています。ライブ配信の「一直播(イージーボー)」と旅行系口コミサイト「Mafengwo(マーフォンウォー)」、中国最大のOTAサイト「 Ctrip(シートリップ)」にもMaruMaru JAPANのアカウントがあります。フォロワー数は現時点でトータル約130万人。中華圏、東南アジア向けに強い発信力を持ち、コンテンツのエンゲージメント率が高いのが特徴です。

オリジナルの記事を配信しており、リゾームの編集スタッフが実際に体験した日本のリアルや、日本のライフスタイルに関する情報、小売り、SC業界の最新イベントとショッピング情報、日本各地の活性化に貢献できる情報などリアルで信頼できる情報を発信しています。

中国の⽇本からの越境EC(B2C)消費額は1兆6,558億円インバウンドの動きが止まっている現在、越境ECの市場がより伸びる可能性がある
出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)/日本・米国・中国3ヵ国間の越境EC市場規模」令和2年7月

…2019年に自社の越境ECサイト「MaruMaru JAPAN」を立上げられました。狙いは何ですか。

他社に越境ECサイトの構築を提案する前に、まずは自社でやってみようということで始めました。オウンドメディアの運営で培った独自の視点でセレクトし、メディアの編集スタッフが実際に体験して本当におすすめしたいと思った日本の商品を“ストーリーコマース”で販売しています。例えば、佐賀の唐津の椿油や白きくらげを使った化粧水など、知名度は低いけれど品質のいい地方の商品を取り扱っています。

2018年から地方自治体やショッピングセンターと組み、観光情報やお土産などを海外にライブ発信してきたのですが、企業が自社で越境ECに取り組むとなると言葉やコスト面などいくつかハードルがあるわけです。そこで、地方の活性化の応援ができればと思い、約1年かけて自社ECサイトを構築し、そのノウハウを生かして2019年末に中国本土向け越境ECの支援を始めました。2020年には、企業へのECシステムの導入と構築、越境ECを活用したライブコマースをスタートしています。

…越境ECの具体的な事例は。

某化粧品メーカーのシステム構築から販促・プロモーションまで手掛けました。半年間で徐々に売れるようになり、今年の4月末には、中国の大手ECモール「Tmall(ティーモール)」に出店しました。ブランドの認知度は着実に高まってきています。越境ECは海外進出の手段として注目されていて、今後より一層需要が高まると予想しており、アパレルなど他業種にも提案しているところです。

…越境ECを始める際に気をつけるべき点はありますか。

知名度が低く、知識やノウハウもない状態でいきなりTmallに出店しても売れないでしょう。中国市場に進出するにはステップを踏むことが大切です。そこで、越境ECに関心のある企業には、まずテストマーケティングも兼ねてライブコマースを実施し、中国の消費者の反応をみましょうと提案します。2~3カ月で売上を計画し、当初の売上げ計画を達成したら、消費者が興味を持ってくれたということです。さらに継続的に展開していくために、SNSを活用したPRや中国のECモールへの出店などを提案しています。

中国ではライブコマースが爆発的に伸びているがどのプラットフォームを利用するか、理解しておく必要がある
リゾームでは知名度のあるTAOBAOアカウントを利用したライブコマースが可能
※データは2021年に各サービスのWEBサイトを参考にリゾームで集計

…ライブコマースの事例を教えてください。御社のライブコマースの強みは何ですか。

ラグジュアリーブランドを扱っているセレクトショップのライブコマースを今年4月から手がけ、2時間のライブで100万円の売上を達成しました。中国進出を支援するにあたって弊社が重視しているのは、中国のどの層を狙うのか、プラットフォームはどこを利用するのかを製品特徴やターゲット層に合わせて判断すること。例えば、日本ではインスタライブを利用することが多いですが、中国にはライブしながら売上げに直結するプラットフォームがあります。利用するプラットフォームの客層とブランドイメージが合致することも重要になります。

日本での流行や中国で求められているものを把握しておく必要があるため、弊社のライブコマースチームは、アパレルの知識が豊富で中国の消費市場に精通した人材が在籍しています。ライブ当日は日本在住の中国人スタッフとモデルが2人~3人1組でライブコマースを運営します。

…取り扱う商品やライブコマースを導入する際の料金は。

中国では、プラットフォームによってはライブコマースの視聴者の8割以上が女性です。そのため、弊社のライブコマースで取り扱う商品はレディスファッションやジュエリーなど女性向けの製品をメインとしています。料金は固定費用プラス販売手数料で、初期費用を少額に設定することでライブコマースを導入するハードルを下げています。商品梱包や海外発送の代行も可能で、低コストかつワンストップで支援できるのが強みといえます。

…具体的にライブコマースはどんなふうに進めるのですか。

ショッピングセンターでのライブコマースの展開を例にすると、企画提案と進行はすべて弊社でまとめてからデベロッパーに提出します。テナントに協力してほしいことなどは事前にお伝えし、取り扱う商品やライブ方法などは弊社でアドバイスします。デベロッパーやテナントの負担が少ないのが、弊社で行うライブコマースの特徴です。

…最後に今後の課題と抱負を聞かせてください。

越境ECやライブコマース事業の認知度を高めることです。富裕層の女性向けファッションにとどまらず、食品など他のジャンルにも広げていきたいと思っています。現在、人員体制を強化しているところですが、まずはメーカーやショップはもちろん、既存取引先であるショッピングセンターの課題解決に注力したいと思います。これまで培ったライブ配信のノウハウを活かしながら、売上げに貢献できるライブコマースを提案しています。8月以降、大阪と東京の大手デベロッパーと一緒にライブコマースを実施する予定です。

  • 最後までご覧いただき
    ありがとうございました
  • リゾーム社員一同