社長の一言集

リゾームが発行するメールマガジンに連載している『社長の一言』のバックナンバーです。

第141号 「もっと悲観せよ、そしたらもっと楽観できる」

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「もっと悲観せよ、そしたらもっと楽観できる」
                            2018年141号
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「いままでで最大の危機は何だったか?」という質問に対して、皆さんは
どう回答されるでしょうか?

バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災等の大きな出来事だけではなく、
会社の歴史、個人の人生の中にも数々の試練、危機はあったと思います。

中国・アリババ社の創業者で現会長、元CEO、ソフトバンクグループ取締役の
ジャック・マー(馬雲)氏は、
「すでに過去のことは一番大きいとは言えない。一番の危機は未来にある。」と
答えています。

「今、松下幸之助ならどうする?」危機・逆境を好機に変える成功法則
大西宏氏著(元松下電器商学院長・元松下流通研究所代表)実業之日本社より
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 もっと悲観せよ、そしたらもっと楽観できる

 「悩みはあって当然、そして一定期間で卒業する」

 「僕は神経質で人一倍気にかかるほうですわ。それは今も変わっていませんが、
 ある点へいくとパッと転換できるんですよ。
 これまでにだって、失敗した例は始終ある。
 けれども『この失敗は成功のもとになるぞ』そういう飛躍的な考えが出てく
 るのですね。
 また自然とそういう局面を担っていきましたな」(八〇歳になった頃の発言)

 幸之助はビジネスの場面でも、たえず状況に人一倍の危機感を持っていた。
 そのような意味で会社でいちばん「ペシミスト」(悲観主義者)であったかも
 しれない。

 幹部を集めての彼のスピーチは、とてつもない夢を持たせる打ち上げ花火か、
 このままではダメになるという警鐘だった。

 例えば、一九六〇年代、泥沼のような家電市場の乱売合戦や、メーカー表示
 価格と実売価格に大きな差が出て消費者運動の標的となり、業界全体が危機に
 陥ったとき。

 彼が打ち出した改革は、深刻に現状を憂うものだけが考え出す奇想天外かつ
 抜本的なもので、未来のあり方まで変えてしまうものだった。

 大型コンピュータから撤退したときも、社内のだれもがそこまで心配せず、
 したがって、そこまで考えつかないことだった。

 トップリーダーは、自社のいちばん好調なときに、いちばん強みと思われる
 ことについてだれよりも心配し、自慢の鼻をへし折るのが務めだ。
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継続的に事業を成長させてきた昭和の名経営者は、常に危機を直視し、考え、
決断し、未来を創造してきたのですね。

普通、過去の大きな成功体験、圧倒的な強み、チャンスが自社の未来の危機と
認識することなど、ほとんどの経営者、幹部は出来ないのではないでしょうか。

昨年12月のメルマガで、アマゾンの「Winner-takes-all(勝者総取り)」状態の
危機を述べさせて頂きました。
ご存知のように、アマゾンの躍進は、多くのビジネスチャンスと、米国のトイザ
らスに象徴されるような事業崩壊を各方面でもたらしています。

しかし、アマゾン陣営でビジネスチャンスを得た人たちも、その支配下で色々な
要求を突き付けられる事態となっています。

アマゾンは自社の通販サイトで出品を希望する業者に対し、取り引きを始める際、
他のサイトなどで買うよりも高くならないように要請したり、アマゾンが商品を
仕入れ、販売をする直販事業の取引各社にアマゾンの通販サイトで販売した金額
の一部を協力金として支払うよう求めました。

それらの要求の正当性の判断は、公正取引委員会に委ねるとして、アマゾン危機
は、アマゾンの莫大な資金力と人材力による既存ビジネスの破壊と、全てをアマ
ゾンに依存させることによる支配力の拡大です。

更に大きな危機があります。絶対にありえないと言い切れるでしょうか?
IT、IoT、AI、ロボット、自動運転等、技術の進化は目覚ましいものがありますが
私たちの想定を超える要因で、もしインターネットが使えなくなったら、私たち
の生活、政治、経済、産業、社会インフラはどんな危機的状況になるのでしょう?

自然災害等で長期的に電気が使えなくなったら? もしそれが首都圏だったら?
悪質なコンピューターウィルスで多くのシステムがダウンしたら?
今回の年金データの入力を中国の企業に委託するなどの、まったく考えられない
人的要因等.....。何が起こってもおかしくない時代です。

コンピューターの無かった時代に比べ、危機の影響範囲は、予測不能なほどに
大きくなっています。

今、未来に向けて、大いに悲観し、悩み、もがき続ける覚悟と、未来への新たな
決断を、私たちは求められている気がします。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光                                                                                   
                                                                  
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