先回見たように、現状を分析する際にはフレームワークが威力を発揮します。どのフレームワークを利用するか決めたら、早速分析に取り掛かりましょう。
まず、選択したフレームワークに則してテーマについて「あるべき姿」と「現状」を書き出します。
例えば、今回取り上げている「次回のリニューアルで、子育て世代の強い支持を獲得するにはどうすればいいか」というテーマであれば、ショッピングセンター用のフレームワークの中の「SC運営の4P+1」を使って分析することができます。
まず、自社のショッピングセンターの「あるべき姿」を「SC運営の4P+1」(店揃え、販売促進、アメニティ、店舗コミュニケーションとWEB戦略)の5つの側面から具体的に列挙しましょう。
そして、「現状」についても同様に、5つの側面から列挙します。
こうして明確になった「あるべき姿」と「現状」を見比べて、両者の差異は何かをじっくり考えれば、解決すべき課題や問題が浮き彫りになってくるのです。
次に、この差異=問題が生じている原因は何か、を突き詰めて考えれば、問題解決のための筋道が見えてきます。
問題の原因について考える際によく使うのが「ロジックツリー」です。
「ロジックツリー」とは、問題の原因解明や、解決策立案のために、問題を論理的に関連した要素ごとに、図のようなイメージのツリー状に掘り下げて表現する手法です。
今回、浮かび上がった個々の問題について「なぜ」を何回も繰り返して掘り下げることで作成できます。
非常にポピュラーな手法ですので既に作成経験のある方も多いのではないかと思います。
その際によく「何回繰り返せばいいですか」という質問を受けます。
もちろん、何回という決まりはありませんが、なぜなぜを繰り返して行くと、段々問題が小さなレベルに分解されていきます。
その結果、このレベルであれば「自分の守備範囲に入ってきたな」と感じることができるレベルになるまで繰り返すことが肝心です。
よく「なぜなぜ5回」と言われているのは、5回繰り返せば一般的に対処可能なレベルまで問題が分解されているという経験則から出た一種のことわざなのですが、5回にこだわる必要はありません。
こうして、ロジックツリーを作成すると、一気に次のステップに進みたくなるのですが、その前に確認しないとならないことがあります。
その点について、次回ご説明します。
魚谷昌哉
米国国際ショッピングセンター協会(ICSC) 公認SC管理士
京都大学経済学部卒業後トヨタ自動車(株)を経て三井不動産(株)へ転職。
長年商業施設の開発、運営に携わる。
2012年に独立して(株)SCマーケティング総合研究所を設立。
「マーケテイングの革新と人づくり」をモットーにSC業界の人材育成に注力中。
近年は厚生労働省の人材育成助成金に適合した研修プログラムの開発やロジカルシンキング研修に取り組んでいる。
株式会社SCマーケティング総合研究所
https://www.sc-marketing.jp/