フレームワークは自動的に視野を広げてくれる
先回、「あるべき姿」の詳細を考える際には、まず考えるための切り口を見つけることが重要で、その切り口は抜け漏れの生じないMECE(ミーシー)であることが必要だ、と説明しました。
しかし、そのMECEな切り口を都度考えるのは大変なことです。
そこで、お勧めしたいのが「既存のフレームワークの利用」です。
最近のSC業務は非常に幅広く、多岐にわたるため、各個人は自分の担当する業務にばかり集中して、他部署の人間の視点を見落としがちです。
このように、最初から自分の視点だけで考えて結論を決めてしまうことを「決め打ち」と呼びます。
「決め打ち」は、ある程度業務経験を重ね、自分に指針のある人が嵌まりがちな落とし穴です。
「決め打ち」による分析は論理の積み重ねをすることなく、個人的な直感に依存するものでしかないことから、殆どのケースで失敗に終わります。
ですから、ロジカルシンキングでは「決め打ち」は絶対に避けなければならないタブーなのです。
ところが、「フレームワーク」を利用すれば、大きな視点を見失わず、自動的にこの思考の癖を矯正することができるので、「決め打ち」を回避することができるのです。
「フレームワーク」は云わば、未開の荒れ地を切り開いて道を作ってくれるブルドーザーのような存在なのです。
SCにはSC向けフレームワーク!
SC業界の人が直面する課題のほとんどは、それぞれ別々のもののように見えますが、実はいくつかのパターンに類型化できます。
ですから、そのそれぞれのパターンに対応した既存のフレームワークが既に存在しているのです。
その既存のフレームワークを理解しておけば自分が直面する課題にどのフレームワークを利用すべきか判断するだけで質の高い分析ができるのですから、これを使わない手はありません。
例えば、弊社で頻繁に利用するフレームワークに「SC運営の4P+1」というものがあります。
これは製造業中心に広く使われているマーケティングミックスの4P(Product Price Place Promotion)というフレームワークがあるのですが、あくまで製造業向けに作られたものなので、このままだと、SCには適用できないので、これをSC向けにアレンジして、店揃え、販売促進、アメニティ、店舗コミュニケーションとWEB戦略の5つの側面からSC運営を分析、評価するものです。
このフレームワークを使うとSC関係者であれば簡単に「漏れなく、ダブりなく」あるべき姿や現状の考察を進めることができるので非常に重宝しています。
弊社ではこの他にも、SCに関して、売上分析、販売促進、マーケテイングプロセス、立地分析、人材育成、組織マネジメント、業務管理、目標設定等の各分野について、即利用できるフレームワークをストックしてコンサルティング業務に活用、クライアント先の企業から好評をいただいています。
もし、他のSC向けフレームワークについて興味を持たれたら末尾のアドレスまで一報ください。
魚谷昌哉
米国国際ショッピングセンター協会(ICSC) 公認SC管理士
京都大学経済学部卒業後トヨタ自動車(株)を経て三井不動産(株)へ転職。
長年商業施設の開発、運営に携わる。
2012年に独立して(株)SCマーケティング総合研究所を設立。
「マーケテイングの革新と人づくり」をモットーにSC業界の人材育成に注力中。
近年は厚生労働省の人材育成助成金に適合した研修プログラムの開発やロジカルシンキング研修に取り組んでいる。
株式会社SCマーケティング総合研究所
https://www.sc-marketing.jp/
uotani-scmk@pcsu.jp