POS導入、FSP導入、Web対応によって、情報の量だけは桁違いに増えつづけます。その内、意思決定に活用できる上質の情報、それも経営者、幹部にとって本当に必要なマーケティングデータが、どれほど存在しているのでしょうか。
経営の意思決定はトップに近ければ近いほど、その効果が大きな差となって現れます。今後のシステム投資の最大の目的は、「戦略的意思決定と、その戦略の検証、再対応」を実現することです。企業にとって、経営における意思決定の遅れ、対応不足が致命症になりうる、という時代を迎えています。
日常のシステム投資に対して、一部の経営者からの決まり文句があります。「これだけの投資をして、どれだけ効果が出せるのか?」
システム導入に関する検討、協議を進め、最終段階でこの質問を出されると、担当レベルでは確信を持った回答が出来ず、最終的に導入を見送るというケースも一部見受けられます。ですが、担当者にその回答を要求するようでは、経営者の情報化への認識不足を感じざるを得ません。最も効果を出さなければならない立場の人間は、経営者に他ならないのですから。
戦略的意思決定のための情報化投資については、経営者自ら、しっかりした方針、ニーズを持って取り組まないと、投資倒れになって、ほとんど活用に至らないのです。
しかし、現実問題として、日夜、経営者や幹部は現場からの様々な情報に対して「だから、どうする?」の自問自答の繰り返しの中、自らの判断の元、意思決定を下しているわけです。一体、どのような根拠、情報に基づき判断を下しているのでしょうか。現状、POS、FSP、Web等で得られるデータは、単に素材でしかありません。基幹システムも、業務処理・管理情報でしかありません。
今後、経営の意思決定のための高度な分析システムが必要であることは、誰もが漠然と理解しているのですが、システム上どのような機能が必要で、得られた情報からどのような対策を講じるかというプロセスを、具体的に設計する必要があるのです。
そのような戦略分析システムをご紹介する前に、経営戦略についての捉え方をご説明したいと思います。そもそも「戦略」というのは、戦争用語です。戦争であれば勝つための計略を言うのですが、経営で勝つという定義は、競合に勝つことではなく、自社の経営を存続させることです。経営を存続するために、経営者が必ず押さえておかなければならないことは、会社全体の経費が幾らで、その経費をまかなう利益額が、どのようにして確保されているかということです。
市場環境は、天候、景気、世界動向により目まぐるしく変化しますから、なかなか予定通りの利益額が確保されることはありません。(但し、経費だけは予定通りかかります。)しかし、いかに環境変化があろうと、経費をまかなう利益を上げ続けなければ、企業生命は終わります。経営者、幹部の仕事の最優先業務が企業の存続であるならば、その羅針盤である業績数値を身近なものにして、常に確認、検証、仮説作り、現場指示をおこなうことが、不可欠の業務といえるでしょう。
一例を挙げますと、昨日は会社全体では幾らの利益額が出たのか、どの部門が昨年より利益を落としたのか、その部門の顧客はどの年代層が減っているのか、競合の出店した○○地区の店はどの商圏が幾ら利益額を落としたのか、その中でも前年を伸ばしている部門、商品は何なのか、という実績を確認しながら、明日の仮説を立てるのです。明日の売場作りにおいては、特に重点商品の選定を、即時且つ具体的に指示、徹底させていく環境作りこそが必要なのです。
「昨日までの検証は今日、その対応は翌日」という即応力がある企業と、「検証は月末に〆て10日後、もう、時期が過ぎて対応が出来ないので、前月の結果に対しての責任追及と反省を実施」というレベルの企業の、戦略の違いと、業績の差は明白です。

このソフトの開発の根底には、CTM(Customer Trend Marketing:顧客動向即応活動)という戦略思想が貫かれています。業績の変化、悪化は、基本的には企業の提供商品やサービスと、お客様ニーズとのギャップが発生したとみなせます。このソフト導入によって、「どのように対応すれば、お客様ニーズとのギャップを埋められるか」その仮説、検証を行い、戦略的な判断を翌日に行うことが期待できます

まず、ある期間で、全体顧客のABC分析を行います。来店回数や、利益額構成比で顧客を9分割し、Aランクの顧客を識別します。次に、Aランクの顧客がどの部門の商品を購入し、幾らの利益を各部門で構成しているかを検証します。
最も利益貢献度の高い部門を購入しているお客様は、他のどんな単品を組み合わせて併買されているのか、更に検証します。それらの単品を購入いただいているお客様は、地区別にどのエリアから来店され、どれだけの利益に貢献いただいたのか検証します。特定単品お買上のお客様は住宅地図に表示して確認します。更に最も利益貢献度の高い地区のお客様は、年代別にどのような構成になっているのか検証します。又その地区のお客様は自店のどの店(ドミナント展開の場合、自店競合が発生します。)でよくご利用されるか店別の利用実態を分析します。
続けて、最も利用の多い店のお客様は、どの時間帯のご利用が多いのか、最も利益額の多い時間帯のお客様は、誰で何を購入されたのかを分析します。このように、分析はチェーンのように繋がって、無限に展開できるのです。(分析の順番は自由で、すべてグラフ化、地図表示が可能です。)
自社の利益額、業績の実態が明快に掴めることにより、課題を整理し、予算、人材投下の優先順位を判断することが可能になります。意思決定の具体項目として、私どもは「拡大・拡充・維持・縮小」という決定項目を用いますが、分析の結果、どの部門を拡大し、どの部門を縮小するのか等の方針を示すわけです。
CTM(Customer Trend Marketing:顧客動向即応活動)という戦略概念はこの分析ソフトの活用から生まれた、まったく新しい経営用語です。
経営環境は、大きな荒海のごとく、激変を繰り返します。顧客、商品、販促等の情報を統合し、経営戦略に徹底活用していくことは経営者の責任であり、求められる能力の一つと言っても過言ではありません。本戦略ソフトが、経営の羅針盤としてご活用いただけるよう、今後も更なる質の向上を目指したいと考えます。